離婚で壊れる子どもたち」という本に、愛着理論のことが出ていました(p231)。
「母子分離に伴って不可避的に生じる乳幼児の苦悩や怒りに対して、母親が受容的であればあるほど、また母親が赤ん坊にとって予測可能であり、また情緒的に応答性があればあるほど、赤ん坊は安定し、こうした母子分離の結果として、母-子関係に長期にわたって悪い影響が及ぶということは少ない(p232)」。
 
あたりまえです。母子分離で子どもに悪影響が及ぶのなら、育児所や保育園は、子どもに悪い場所ということになります。もちろん、そのようなことはありません。
 
「近年の愛着理論の研究成果に基づき、ラムケリーは、離婚後に、乳幼児が別れ住む親と泊りがけで面会交流することは、こうした幅広い領域での関わりの機会を提供することになり、大多数の子供たちにとっては大きな恩恵を与えるものであると主張する」。(Family Court Review、Volume 38, Issue 3, Pages 297 - 311)
 
これまた当然で、逆に親子関係を切ってしまうような対応は、子供に対する虐待であると言えましょう。
 
 
愛着理論を解説する日本語のサイトを検索しましたが、適当なサイトが見当たりません。
良いのは近藤氏の文章くらいしか見当たりません。
 
それで、英語版の wikipedia の「愛着理論」を読んでみました。
    ・目次、写真の解説、本文の一部を日本語に訳しました。
    ・その訳を、日本語のwikipediaの「愛着理論」に書き込みました。
             私が書き込む前のwikipediaの「愛着理論」です。
             私が書き込んだ後のwikipediaの「愛着理論」です。
                 (日米の情報差は、このように絶望的なほどです)。

ハーローの愛着理論と、父親の権利との関係を説明する動画です(英語です)。
http://www.youtube.com/watch?v=02r3u59FRPU
 
よちよち歩きの子どもも父親を必要としています(英語です)。
http://www.youtube.com/watch?v=SMTIlXavtqU
 
父親が子どもに関与した方が、子どもの喫煙率は低くなります(英語です)。
http://www.youtube.com/watch?v=cEAC5xQ3bGo&feature=related
 
 
初期の愛着理論では、授乳の観察から始めたので、授乳の意味を過大評価することになりました。ハーローの実験でも明らかなように、ミルクは重要ではありません。確かに乳児は、母乳やミルクがなければ生きて行けません。でもそれだけのことです。人間としての精神的発達とは直接的な関係はありません。
 
ある人の子育てが、完全に、本能的な子育てであるのなら、それはネコの子育てと同じです。人間としての知的な子育てではありません。
 
小児科医は、重症の病気の子どもを入院させて治療します。その際に行う新生児の全般的な養育ケアは、別に難しくありません。科学的ケアは、本能的ケアに勝ります。また「お友達がこうせよと言っていたようなケア」に勝ります。科学的な正しいケアでないと、病気は簡単に悪くなってしまいます。母乳が出る場合には、搾って袋に入れて持って来てもらいます。余れば冷蔵します。
 
また小児科医は、新生児や乳児が入院したときには、なるべく頻回に子どもに会いに来るように親に言います。そうしないと、親子関係が切れてしまうことがあるからです。