この前の続きです。

(11)離婚の予防
この本では、離婚が前提とされています。離婚の予防については述べられていません。ご主人も同じです。子どものために別れないでいる不幸な結婚に対して、幸福な結婚に変えるための方法を示すのではなく、(子どもに打撃を与えないような) 離婚をお勧めしているニュアンスがあります。

離婚に至るメカニズムの一つは、コミュニケーションの不足により人間関係が破綻することです。親子関係の破綻と同じ仕組みです。ハーリは、いずれについても関係を良好に保つには、週に各15時間以上の会話や交流が必要であると述べています。

離婚も、相当程度に予防可能です。「適切で充分なコミュニケーション」が必要な点で、親子関係と同じです。これについてもやはり、アメリカの政府機関が信頼できます。(HMINHMRC)。

弁護士や臨床心理士は、他人の離婚から収入を得ます。予防はお金になりません。離婚の予防を全く考えないような周囲の環境におられるのでしょう。

(12)交流の中身
「月に1回3時間」では、どのような形の交流も、あまり意味がありません。もちろん、親子関係を維持することはできません(面会の頻度)。

それでは、もう少し時間をとることができた場合に、どのような交流を行うのが望ましいのでしょうか。そもそも交流とは何なのでしょうか。

この本には、そのヒントが書かれています。「親として機能する(p82、p97)」、「父親としての役割を果たす」ということです。それを補足すると以下のようです。箇条書にしました。

   子どもにとっての親子交流の意義
      もう一人の親を確保する(親子関係を維持する)
      親からの援助を確保する
          金銭的な援助(父親の全てのお金をもらう)
          情報の援助(性役割、人間関係、社会との関係)
      安心感を得る
          親がそこにいて、助けてくれる

   父親にとっての親子交流の意義
      父親としての役割を果たす (自分の遺伝子を繁栄させるため)
          子どもへの金銭的援助をする
          子どもへの情報提供(規範)
          子どもへの教育
              実地で手本を示す
      親子関係を維持する
      子どもの安全を確認すること

   母親にとっての意義
      子どもへ、真の愛情を示す
      子どもを一人の人間として尊重する
      自分の勉強の成果を子どもに示す
      人間関係のあり方を子どもに示す

   親にしかできないことがある
      教育するためのカリキュラムを自分で作る (子どもに何を伝えるか)
      形を変えて、何度も繰り返す
      知らないうちに伝わることもある
      子どもは、親の背中を見て育つ

   もちろん、友達から学ぶこともある。本から学ぶこともある。
      親といる利益、友達といる利益の比較

   「子どもと遊ぶこと」は、最も重要なことではあるが、それだけでは不足

(13)現状でどうすればよいか
この本では、解決策として法律の改正が提案されています。それは、その通りです。しかし、法律が改正されるのは、1年先かもしれませんし、10年先かもしれません。今すぐにできることは無いのでしょうか。以下のようなことが考えられます。この本にはあまり書かれていません。

  ・手間とヒマをかけて、親の愛情を子どもに示すこと
  ・父親の役割を果たせるように努力すること
  ・可能な限り子どもの近くに住むこと (Out of Touch、9章
  ・時々、交流について子どもに意見を聞くこと (交流を嫌がる原因がある)
  ・この問題を正しく理解し、情報提供し、相手を説得すること (知は力である)
          (誰がどういう利益を求めて反対するのかを理解すること)
  ・子どもが理解できる言葉を知る (学童なら、国語の教科書を見れば分かる)

(14)夫は離婚すると収入が増えるか(続き)
例えば、ある男は、結婚前も結婚中も離婚後も、常に月給が30万円であったとします。その場合に、結婚中の稼ぎを、妻の家事労働を考慮して15万円だったと評価するならば、その男は、離婚により収入が15万円から30万円に倍増したことになります。この本ではそういう計算かもしれません。

離婚と子ども」では、「母親の年収は30%くらい減る」と書かれていますが、本書では「70%くらい減る」となっています。またFerstenberg でなく、Furstenberg のようです。この人の著作は、以下のように、Google Books で、かなりの部分を無料で読むことができます。Furstenbergらの本


「離婚で壊れる子どもたち」は、価値の非常に高い本なので、このように私は真剣に読みました。今は、私が知らなかった半分について、勉強しようとしているところです。