ユタ州にあるブリグハム・ヤング大学のラルソン氏による「結婚についての誤った考え」という文章の前4分の1を訳しました。


結婚についての誤った考えを正すこと
たいていのカップルは、新聞や雑誌から得られる知識を除いて、いかなる種類の結婚教育も受けたことはありません。カップルが結婚するときに、結婚生活の早期から必要となる適応について教えてくれる人はいません。また、人が往々にして持ちやすい、結婚生活についての誤った考えについて教えてくれる人はいません。夫や妻という役割りに慣れるにつれて経験する、人間関係の諸段階についても、結婚式の時に知っている人は、ほとんどいません。相当の間、一緒に暮らしてきたカップルにとっても、結婚生活を送ることは、認識の上でも、感情の上でも、法的にも、精神の上でも、それぞれ異なったことなのです。私たちが、結婚して夫や妻の役割を引き受けるのならば、互いに対する期待も変わります。例えば、カップルの一人は、小切手帳を効果的に管理することが求められるかもしれません。また、独身時代には支出の最終決断を一人で行っていたものを、結婚後には大きな支出をする際には相談が求められるかもしれません。私たちが結婚生活に適応しようとするときには、不幸にも、私たちは傷つきやすく、互いについて、また変化の仕方について、誤った考えを持ちやすいのです。以下では、まず初めに、結婚後の時間の経過とともに不可避的に起きる変化について見てみましょう。

私たちは、結婚後には相手により多くを期待するようになるだけでなく、互いへの愛もロマンチックな愛から友情に近い愛に変わってゆくことが理解できないのです。私は、その変化を、結婚の3つの段階と呼んでいます。すべてのカップルは、何らかの形で、この3つの段階を経験します。この人間関係の段階を、早く経験するカップルもあり、遅く経験するカップルもあります。ある段階に、長期間とどまるカップルもいます。以下では、どのようにして結婚生活のトラブルが生じるかを見ましょう。またトラブルで立ち往生しないための解決について見ましょう。

結婚の3つの段階
たいていの結婚は、次の順に、3つの段階を経験します。
  1.ロマンチックな愛情
  2.幻滅と破壊
  3.結婚解消または適応、(あきらめまたは満足)

段階1.ロマンチックな愛の段階
たいていのカップルは、多くの人がエクスタシー(忘我)として描くロマンチックな愛の段階のときに結婚します。エクスタシーという言葉はギリシア語から来た言葉で、「混乱する。発狂する」という意味です。この段階における私たちの愛は、まず第一に、性的であり、情熱的であり、非合理的であり、身体的な吸引力に基づいています。この段階では、ラポール(意思の疎通)は良好で、コミュニケーションは容易であり、なおさらエクスタティック(忘我的)です。この段階では、大きな犠牲を払う必要はなく、たいした危機も経験しません。意図的に、あるいは多少は無意識的に、相手には自分の良い面だけを見せます。女性なら、彼に自分は世界で最も運のよい男だと思わせようとして、容姿を良くして、彼を幻惑するのです。このハネームーンの時期においては、相手に対する期待や、相手との関係は、非合理的になっています。受容して愛して欲しいという我々の要求が全て満たされるように、相手に期待します。女性は、彼を究極の保護者として期待し、男性は、彼女を愛とケアの泉として期待します。昔からの心の傷を治してくれる、自分の心の欲求をすべて満たしてくれる人を、ついに見つけたと思うのです。このようなロマンチックな愛により、男性と女性が充分な時間引き付け合うことにより、安定した意義のある関係が育つのです。結婚のこの段階では、カップルは次のように言います。「私は彼をとても愛しています。彼は私にとって完璧な人です」。「私は、あなたを世界一幸福な女性にしたいのです」。愛の竜巻の周りでぐるぐる回っているようです。母なる自然の力です。しかし、しばらくすれば、結婚して本当に落ち着くときが来ます。そして結婚生活のいろいろな側面を経験します。そしてカップルは段階2へ移行するのです。

段階2.幻滅と破壊
ロマンチックな愛の問題点は、それが遅かれ早かれ消え去ってしまうことです。「ハネームーンは必ず終わる。ロマンスの花は必ずしおれる」ということです。ロマンチックな愛が消えるにつれて、二人の生活には、愛を脅かすような事態が出現し始めます。日常生活は、それ自体ストレスに満ちています。トイレや風呂を共有し、家庭での役割を分担します。例えばトイレを掃除し、ガソリンを入れ、セックスを始め、小切手帳を管理することなどです。二人のキャリアのバランスを取ることから来るストレスや、互いに自分の時間を作ることから来るストレスは、私たちに精神的、身体的な犠牲を強いるものであり、それにより夫婦の人間関係の活力は、失われて行くのです。これらの変化は、避けられない人生の一部であって、本質的な悪というわけではありません。しかし、これらの変化は、私たちが予期していたよりも、ずっと大きな困難をもたらします。さらに、私たちの空想の一部は、実現しないことが判明します。例えば、私たちは、次のようなことに驚いてショックを受けます。
 ・彼は、常に私のことを考えてくれているわけではない。
 ・彼女は、毎日仕事場に電話して「愛している」と言ってくれない。
 ・彼は、以前私が考えていたよりも過体重である。なぜ私は誤ったのか。
 ・彼女も働くと思っていた。しかし、今私は全てのお金を1人で稼いでいる。今のお金は充分でない。
 ・彼は充分に休まないと機嫌が悪い。それはどこから来るのか。

短く言えば、結婚は人を満足させるのと同時に、失望させるのです。理想と現実の当然の差は、結婚後数ヶ月経過して明らかになってきますが、それは通常人を幻滅させます。

二つの異なった人格が折り合ってゆくのは、予想しているより、ずっと困難なことであり、この困難さが分かると、それも人を幻滅させます。求愛やハネームーンの時期には、性格の特徴は、あまり明らかになりませんでしたが、ストレスの下(例えば以前には見せなかった怒りや、時々の憂鬱や、何日も続く苛立ちのある時など)では、性格の特徴が次第に現れ始めるのです。

おそらくショッキングでしょうが、パートナーは、暗い側面や基盤となる側面を、相手に見せます。例えば、彼は休暇の間、ヒゲを剃ることを「忘れます」。彼は風呂への通路に服を脱ぎ捨てます。どこでも痒いところを掻きます。別の言葉で言えば、自分の最も良い部分を求愛の時に相手に示して相手を勝ち取り、結婚して、その後リラックスするのです(時々リラックスし過ぎるのです)。そして相手に、自分の反対側の側面を見せるのです。この反対側の側面は、ロマンチックな愛を刺激しないのです。パートナーを代えたいという状況に陥るかもしれません。相手と結婚したことを後悔するかもしれません。これら全ては誰にでも起きることです。「結婚の適応 101」です(これがあなたを愉快にすることを願っています)。

これらの人間関係や環境の変化に加えて、ストレスの多い出来事や危機が訪れます。例えば、家を買うこと、子どもが誕生すること、育児のストレス、慢性疾患に罹ること、失敗すること、価値ある仕事を失うことなどです。パートナーと折り合ってゆくためには、ある程度の犠牲を強いられます。これは多くのカップルを、恐慌状態にします。我々の生活には、精神の集中を阻害する気晴らしが多数あって、我々の視点を結婚からそらして、生活の他の必要事項に向かわせます。例えば、子どもの育児、労働、請求書の支払い、キャリアを磨くこと、趣味、スポーツ、レクリエーション、テレビ、インターネットなどです。またPTAや、その他の地域の会合も、そのようなものです。

これらの精神集中を削ぐものは、本質的に有害というわけではありません。ただ、それらは、カップルとして共にいる時間を奪って行くのです。ただし、趣味や運動や育児では、工夫によりカップルが一緒にすることが可能です。結婚生活を維持するためには、我々は忙しすぎるのです。カップルでデートするような活動は、子どもが巣立つまで、全く無くなります。

こうした幻滅と破壊のコンビネーションは、性的な部分をも障害します。性的な問題を引き起こす二つの大きな要因は、ストレスと疲労であり、先に私が述べた、精神集中を阻害する多くの物の結果として生じるものです。我々は、身体的にも精神的にも、わずかしか関与しなくなります。人間関係に、時間とエネルギーをほとんど投入しなくなります。性生活についても同様です。私的な時間において、創造性や快活さを発揮しないことの結果として、性的に飽きてうんざりするようになります。

しかし、良いニュースがあります。たいていのカップルは、この状態を過去のものとして、生き生きと満足できる結婚生活を作り上げるのです。あなたにもできます。次の段階では何が起きるかを見ましょう。最終的にどうするかを決める段階です。

訳(2)へ続く