個人レベルでの情報革命
情報革命の具体的な内容は、インターネットによって、ほぼ無料でいろいろな情報が得られるようになったということです。「情報が足りないのでうまく行かない」ということが無くなるということです。これは、大変な事態です。
インターネット上には、いろいろな情報が玉石混交状態でありますから、検索の技術により、信憑性の高い情報を得る必要があります。私は、情報の発信源として信頼しているのは、W.H.O.などの国際機関や、欧米の政府機関です。欧米の大学による情報提供も比較的信頼しています。匿名情報は、あまり信頼していません。名前のある情報については、(1)その人は、当該の事について専門的な教育を受けているかどうか、(2)引用は適切か、の2点を検討しています。
その時に知りたいことがその場で分かるということの他にも必要な情報はあります。
例えば、勉強する意義です。情報収集の意義と言い換えることもできます。「なぜ勉強しなければならないか」ということです。これは、あまり学校では教えてくれません。
また、勉強の正しい方法を知るのは必要なことです。これもあまり学校では教えてくれません。勝間氏の本や、野口教授の本は、この問題を正面から取り上げています。
また、日常生活の過ごし方もあります。考え方と具体的な方法についての情報も必要です。昔は、有名人に弟子入りして、住み込みで掃除などの雑用をしながら、有名人の日常生活の仕方をコピーすることがありました。有名人の側で、こうしたコピーの意義に気が付いて、言語化して公開してくれれば、皆が取得することができます。皆が努力家になって豊かになるということです。
仕事において必要となる情報もあるでしょう。例えば日常診療で必要となる情報もあります。そういう情報は、例えば厚生労働省のホームページや、厚生省の研究所のホームページで得られます。慢性疾患の予防、感染症の情報などを役立てています。
家庭を円満に維持運営するにも、必要となる情報はあります。例えば、米国厚生省はそうした情報をネットで流しています。
情報の必要性を満たすだけでなく、情操教育にも役に立ちます。人間の喜怒哀楽について学ぶに際して、映画などのメディアを活用できます。良質の映画を教材として用いるような教育カリキュラムが必要だと思いますが、今はまだありません。例えば「助け合いは必要だ」などと言葉で短く言ってもよく分かりませんが、それを説明しているような映画を見れば、一つの体験として身につくことでしょう。
経済的な現象についても、例えば野口教授のホームページには雑誌記事のバックナンバーが掲載されていますから、それを読んでおけば、経済の大局を見誤ることは無いでしょう。直近の事象は週刊ダイアモンドを読めば良いわけです。国家全体としてすべきことと、個人がすべきことの両方が分かります。今起きている世界的な経済危機はどういう意味があるのか、今後どうなると予想されるかについても、正しい予測が得られます。
日本では、健康に関する公的な情報が充分ではありません。特に予防医学の情報提供が貧弱です。テレビで「納豆が体に良い」と放送されると、1週間以上、スーパーから納豆が消えたことがありました。今は、バナナが品薄になっています。これは、多くの人が、食生活に関する正しい知識を、一つの常識として持っていないことを意味しています。
「もの作り」もそれなりに重要ですが、こうした情報も、人間を幸福にするために重要です。
理想的な状態は次のような状態です。人は充分な教育を受け、主体的に熱心に勉強し、また熱心に働き、高い生産性により多くを生産します。そして、家庭を中心とした人間関係も良好で、円満で楽しい家庭生活を送るということです。今起きている情報革命により、そうした理想的な状態に大きく近づいたと言うことができると思います。
情報化社会にも落とし穴はあるでしょうが、それも情報提供を受ければ対処しやすくなるでしょう。