<必要な栄養素を必要なだけ摂取するための方法>
今、あなたが自動車会社の部品調達の係りであったとします。あなたの会社は年間100万台の自動車を作る予定です。あなたは、部品会社からハンドルを100万個購入し、タイヤを400万個購入し、エンジンを100万個購入するなどすれば良いわけです。
あなたが、食事療法ですべきことも、それと似ています。必要な栄養素を必要なだけ摂取するということです。
必須アミノ酸があります。必須脂肪酸があります。多くの微量元素も必須です。総カロリーを適当な範囲にとどめ、脂肪も適量を摂取します。必要な量は、「日本人の食事摂取基準」で、その一部分を知ることができます。
現実の食品に含まれる各種栄養素は、あらかじめ調べられています。例えば、インターネットでも公開されています(食品成分データベース)。あなたのすべきことは、現実の食品を組み合わせて摂取し、必要にして充分な栄養素を摂取すればよいのです。短期的には外れてもよいわけですが、長期的には外れない方がお勧めです。
それは、かなり面倒な作業です。しかし、多くの条件を満たす食事法の習得は、ぜひ必要なことです。それは、一つの高級な技術です。作業にあたって、パソコンと表計算ソフトがあれば、便利です。
なお、予防医学に関する通常の図式は、「欧米の政府機関を見れば答えが分かる」ということです。日本では、関係業界が自分の利益のために政治過程を通じて予防手段の実施を阻止しています。欧米の政府機関は、そのような度合いが少ないので、適切な予防手段が実現されています。
予防医学について日本とアメリカで食い違いがある場合、アメリカが正しいということです。日本では胃がん検診として胃内視鏡が行われることがあります。症状が無い場合でも、胃カメラをする場合があるということです。アメリカでは行われていないようです。これについて、アメリカ側の説明文を読むと、次のように書いてあります。「日本では胃がんが非常に多いので、胃がん検診として胃内視鏡が行われているが、アメリカでは胃がんは少ないので、胃内視鏡は行われていない。もしアメリカ国内でも胃がんが多発する地域や集団があれば、胃内視鏡をすべきである」。このような場合も「アメリカを見れば答えが分かる」という点では変わりが無いわけです。
しかし、食事に関しては、この図式は成り立ちません。CNNを見ると、「日本の食事は理想的なもので、アメリカの食事は最悪最低である」という旨の報道が時に行われています。そもそも日本や韓国は、欧米に比較して肥満が非常に少ないのが特色です。日本は世界一の長寿国です。食事については、日本が良くて、アメリカは悪いということです。
日本は、穀物食であり、魚の消費が多く、肉の消費が少なく、大豆の消費が多いなどの点で欧米の食事より優れています。
日本では、学校給食、病院食、企業の食堂などにおいて、適切な食事の提供が行われています。そうした食事には、教育的な意味もあります。それは情報提供の場でもあります。
必要な栄養素を必要なだけ摂取するための方法として、次の3つが考えられます。
(1)本能に基づく方法
(2)食事バランスガイドや食品ピラミッドを使う方法
(3)糖尿病の食品交換表を使う方法
(2)食事バランスガイドや食品ピラミッドを使う方法
(3)糖尿病の食品交換表を使う方法