伯父の希望

伯父が住んでいた市には、民間病院が2つだけありました。企業の病院と、農協の病院です。いつも混雑していました。市民病院はありませんでした。それで伯父は、「市民病院があったら良いのに」と考えていました。混雑も解消され、市民が肩身の狭い思いをすることも無くなります。

しかし、私はそれは不可能であると思いました。私が理解するところでは、県や市の地域ごとに、病床数が決められています。それを、勝手に増やすことはできません。完全な自由競争にしてしまうと、過当競争が起きたりします。病気の予防をおろそかにすることも、起こり得ます。

もし病床数の問題がクリアーされたとしても、開業医の先生は当然に大反対するでしょう。その分の患者さんが奪われます。死活問題です。将来の開業を目指す勤務医も大反対するでしょう。

病床数が固定であることを受け入れるとすれば、民間病院を市民病院に変更するしかないわけですが、時代に逆行します。話が逆です。市民病院ならば、赤字は税金で補填されます。職員は公務員です。夜中に何度起こされても、重病患者を可能な限り受け入れて診療しようとするのは、民間活力だけです。

伯父の希望は、誠に尤もです。しかし、現状ではどうしようもありません。