ゼロリスクは無い

水道水には塩素が含まれており、それにより、発がん性が疑われるトリハロメタンが生成されます。水道水に含まれる有毒物質により、人口150万人の神戸市で毎年2人ががんで死亡しているという推計を見たことがあります。また中西教授の文章中のデータから私が計算しますと、人口150万人の都市では、毎年4人ががんで死亡しているということになります。

しかしながら、だからといって水道水をすぐに止めてしまうことにはなりません。他の水も、それなりの危険性があるからです。ペットボトルの水には、何かが溶け出しているかもしれません。水道水より高価であり、充分に飲めません。切れることもあります。また井戸水には雑菌が混入します。井戸水に病原性大腸菌が混入して、幼稚園児が死亡したこともあります。自然の湧き水には、しばしば大腸菌が検出されます。便が混じるということです。

他の水と比較して、水道水が最も安全であるのなら、害があっても、そのまま使い続けるしかありません。

同様に、もし、タミフルが異常行動を引き起こすことが真実であって、それにより死者が出ているとしても、それで直ちにタミフルの使用を止めるということにはなりません。他の薬との比較になります。あるいは、タミフルを使う時と使わない時の比較になります。

科学的に正確に比較して決定する必要があります。科学には再現性があります。そもそも、タミフルの販売が開始される前に、それは行われているはずです。販売前に行われる調査研究と、後日行う調査研究とが、くい違うのであれば、研究の仕方に問題があるのでしょう。もし、事前に正確な研究が行われているのなら、後はそれを信頼するだけということです。