| 空騒ぎ |
残念ながら、神経芽細胞腫のマス・スクリーニング事業は、日本発の空騒ぎという結末になりました。
http://kouhou.city.kobe.jp/kouhoushi/0310/031005-2.html
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/08/s0814-2.html
統計的な考え方に問題があったということです。
検査をして早期に腫瘍が見つかり、手術して治癒したとしても、それだけでは駄目だということです。
マス・スクリーニングをする場合としない場合を比較しなければなりません。両者を比較して差が無いのなら、そのマス・スクリーニングは意味が無いのです。
マス・スクリーニングをする場合としない場合を比較しなければなりません。両者を比較して差が無いのなら、そのマス・スクリーニングは意味が無いのです。
今回の結論は、「自然に治る腫瘍だけを見つけていた」ということです。このようなことが起こる可能性もあるのです。
科学的な比較検討を充分に行わなかったために、空騒ぎを引き起こし、世界中をお騒がせしたという結末になったのでした。
私は、昭和63年に日本小児科学会が神戸で行われたときに研修医の1年目でした。この研究をされた京都府立医大の澤田教授の講演を聴きました。澤田教授が助けたはずの子どもの数は、当時で200人以上に及びました。澤田教授は小児科医として幸福そうに見えました。
現在の判定では、澤田教授は不必要な検査を行い、自然に消える腫瘍だけを見つけて、不必要な手術を行ったということです。しかし当時は私もよく分からなかったし、この事業は止むを得ない試行錯誤の一つであったと思います。
タミフルにおいても、タミフルを飲んだ場合と飲まない場合を比較検討する必要があります。二重盲検テスト(doubele blind test)を行う必要があります。客観的なデータを集めて科学的に比較検討しないと、またしても日本発の、世界をお騒がせする空騒ぎに終わる可能性は、充分にあります。ことによると、初めから相手にされていない可能性もあります。