見晴らしが良くなるに連れ、強烈な風が吹き付ける…。
当然足元が滑るのも酷くなる。
それでもなんとか日本三大峠の一つを制覇!!
去年はベンチに座って一休み、記念撮影する人が多かったが、今年はそんな人は居ない…。っていうか遅すぎて人そのものが居ない。
デビルも休む間も無く下りヘ突入。滑って転びながら第2CPヘ到達。そこには今年も恒例の雁坂の魔女がナース姿でおかゆを振舞っていた。
(先を急ごう…)
無駄な時間は最早残されていない。この雁坂峠の下りこそがデビルにとっては鬼門なのだ。とにかくゆっくりでもいいからダメージを蓄積させないように気を付けながら進む。
(ここの距離表示は見るたびに心が折れる。信じられるのは自分の中のフィーリングのみ…。)
そう自分に言い聞かせながら進んでいく。気が付けば雨は止み、鎖場の見通しがいい場所では虹が見えた…。
虹は西洋では不吉なものなのだ。西洋かぶれの都会派デビルからしてみればこれは喜んでいられない状況なのだ。
予感は的中し、下りのあらゆるところでグリップを失い始める。何度滑って転んだことだろう。後続のランナーには次々抜かれ、泥まみれのデビルは無惨な姿を雁坂デーモンの前に晒す。お約束のように足の爪は痛み始め、想定タイムからは大きく遅れている。
登りで抜いたタイガーにもあっさりパスされ最早心は折れ始めていた。
(今年も駄目なのか…。)
こうして雁坂デーモンにたっぷり痛めつけられたデビルマンは、あまりにも遅すぎるために蜂に刺されることもなく第3CPに到達した。既に人はまばらで閑散としたCPで食べたカレーの味はきっと一生忘れられないだろう…。
(ここで止めるわけにはいかない…。)
敗戦濃厚なデビルマンはそれでも行くしか無いと悟っていたのであった。
【続く】

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