残り時間が2時間を切ったあたりから目標値は定まった。本当は初めて八時間耐久を走った時の時間オーバーで21周くらいまで行きたかったが、前日の47キロを鑑みればこの位が妥当な線だろう。
そう思ったあたりから日差しが出てきて、所沢航空公園は夏の様相を呈してきた。
(あちい…。でもまだ脚は動く…。)
ついに暑さデーモンが来たか。デビルアイは曇り、急速に視界が奪われて行く。ミートテックを何枚か脱いだとはいえ、まだ重ね着は残っている。暑さには滅法弱いデビルに昨年の悪夢が頭をよぎる。
しかし、ガッチャもハッタも前線から退いた今、この公園の平和を守れるのは日本人初の青い悪魔デビル以外にはいないのだ!
(防人の歌 さだまさし)
おしえてください
この世に生きとし生けるものの
すべての生命に限りがあるのならば
海は死にますか 山は死にますか
春は死にますか 秋は死にますか
愛は死にますか 心は死にますか
私の大切な故郷もみんな
逝ってしまいますか
脳内をさだまさしの声がリフレインしている…。俺は速く走ることもできない、とんでもなく長い距離を走り切る事が出来るような強いランナーでもない…。でも、諦めることはしたくない、目の前にある闘いには全力で挑みたいだけなのだ…。
所沢航空公園名物の
野球少年達
もヒーローズを待ち構えてはコースを並走してくれている。公園に遊びにきていた小さな子供達もきゃっきゃいいながら一緒に走ってくれている。たとえ苦しくても、こうやって皆と触れ合いながら走ることができるならデビル本望…。
ただ、高校野球予選が行われていなかったのでリアルもしドラなJK達に会えなかったことだけがデビルご不満ではあるが…。
こうして暑く苦しく、それでいて楽しかった所沢の闘いは終焉を迎える。
ラスト一周。
デビルは残り時間を気にしつつ、ラストラップへ突入していった…。
【続く】

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