あちらのブログには書けない秘密の話。
友達の多かった彼は、明るく知的で活動的な男。
就職してから、まさか私が同じ職場にやって来るとは
思っていなかったらしく、酷く驚いていた。しかし、彼の
人柄を知っていた私は、彼が事件を起こすとは思って
いなかった。
かつて不良グループにはいたものの、私の様な偏屈
ともうまく付き合って来た彼は、ある意味優れた人物。
彼と付き合いのあった女性は、結婚が決まって嬉しそう
にしていたし、普段は明るくていい奴。
ところがある日、職場の調査役が私に言って来た。
「君の友達が大変な事になっているぞ」と。
有体に言えば、職場の金に手を出したのだ。おかげで
私が辞める時も、別の意味で騒ぎになった。重いノルマ
と上司が嫌になって辞めた私にとっては、困った騒ぎだ。
思えば、内部統制の悪さから来た犯罪だったと思う。
当時の上司は、彼に仕事を押しやってしまい、伝票の管理・
作成は彼任せだった。パソコンの操作が出来ない上司は、
営業に行ったり、仕事を取ってくる事には長けていたものの、
決算処理などは全て彼に任せてしまっていた。
「お前、やってくれ。頼むぞ。」
優秀な部下が配下にいることを良い事に、自分は無関心
を装ってしまったのだ。
だが、そこに不正を起こす素地が出来上がってしまったの
だと思う。着服した金額が大きかった事も事態を悪化させ
ていた。本部の人間が連日監査を続けており、当時関係
部署にいた私にも耳に入って来た。
暫くしてから事が露見し、彼は解雇される。被害額は親が
全額返済していたので諭旨解雇で済んだ。ただ、本部から
出て来た彼の表情は、酷く険しいものであった。偶然にも
近くに私がいたのだが、恐らく彼の目には入らなかったと
思う。そのまま歩いて去って行った。以来、音信不通。
風の便りでは、彼が結婚し、子供が生まれて今では別の
仕事に就いている事を知ったので、少しだけ安堵している。
まさか、私まで辞めているとは思ってもいないだろうが。