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渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「分かりました、よろしく」
亮の血液が桃華の体にゆっくりと入って行った。
横になっている亮に五郎が話しかけた。
「亮さん、あのアルミのトランクの中には
血液800ccと透明の液体が入っていました。
 いま分析中ですがおそらく、桃華さんの血液、
それから抽出した物だと思います」
「血清ですか?」
「だと良いんですが・・・明日の朝研究員が詳しく調べます」

「そこからウイルスが発見できれば治療薬が出来ますね」
「はい、でも新種ならそうとう時間がかかりそうです」
「そうですね・・・」
薬剤師の亮はそれを良く分かっていた。

ウイルスを殺す薬を作る事は簡単だが
人体に影響があってはいけない
薬を作る研究者は常に効用だけでは無く
副作用を考えなくてはならなかった。
そしてすでに800ccの血液を抜かれた
亮は軽いめまいと共に
眠りに陥って行った。

「先生、呼吸が安定してきました。体温も38度に落ちています」
耳の奥で沙織の声が聞こえてきた。

~~~~~
亮が目を覚ましたのは1時間半後だった。
「亮、大丈夫?」
小妹が亮の顔を覗き込んでした。
「ああ、大丈夫だ。桃華は?」
「安定したよ、1200ccの他に蓮華の分200ccの血液も
 抜かれていたよ」
小妹はバイタルモニターを指さすと
亮は起き上がってモニターの変化を見ていた。
「じっちゃんたちは?」
「もう遅いから近くのホテルで寝ている。私たちもホテルに行こう」
「わかった、変なことするなよ。まだフラフラするんだから」
「うふふ、ばれた?」

~~~~~
翌朝、亮と小妹が研究室の病室に行くと
蓮華の隔離ベッドのビニールがはがされ、
沙織が蓮華の胸に聴診器を当てていた。
「おはようございます」
亮が沙織に声を掛けると
沙織が振り返った
「おはよう、蓮華さんは体温も下がったし呼吸も安定したわ。
 今血液の白血球数を調べている」
「ありがとうございます。蓮華さんにいくつか質問して良いですか?」
「ええ、良いわよ。それで桃華さんにこのまま変化が無かったら
亮の骨髄液を貰うかもしれない」

「えっ!」
亮は骨髄液を取る痛さはかなり凄いと聞いた事あり
思わず悲鳴のような声を上げた。
「じゃあね、覚悟しておいて~」
沙織は手を振って病室を出て行った。
「蓮華大丈夫か?思い出るとこまでで良いから
どうしてこうなったか教えてくれないか?」
「うん」

爆発で気を失った蓮華と桃華が乗せられた車の中で
茂蔵が2人の炭素繊維ウエアを逃がせ
上半身を裸にしていた。
「しかし、筋肉質の良い体をしているな。良い宿主になる」
茂蔵は2人の胸をしみじみ見て乳房を握りプルプルと揺さぶった。
そしてアルミケースを開け中に2本あった注射器を
取り出し蓮華の肩にいきなり刺して液を流し込んだ。
「ああ・・・」
気を失っていた蓮華が大きく息を吸うとともに体を起こし
全身を痙攣させ激しく呼吸を荒げた。
「ん?液が多かったか」
茂蔵は首を傾げた。
「まあ。いいもう1人居る」
「はい、全力で護ります」
「うん、良し!」

亮の祖父拓馬は徳川家に伝わる古文書を解読して、
自分の先祖の御典医團正志斉の書いた古文書
は徳川家の1000年王国に対する並々ならぬ思いが
記されていた。

しかし、実際にはそのプログラムが実行されていた
様子は無く秘薬によってスパーマン将軍を作り上げる
事は周りを囲む人間がコントロールできない
将軍は迷惑だったのだ。

「亮、1000年王国のスタートはお前だ、
お前の遺伝子がこの壊れかけた世界を統一する。
お前の10人の子供が40人の孫を作り曾孫が160人の子供が
640人の子供を作って行くんだ」
「でも、実際に僕の遺伝子はそんなに優秀なんでしょうか?」
亮の心は揺れていた。

「あはは、分からん。ただ我々が考えている
 病気の無い世界、争いの無い平和な世界を
作って行って欲しい」
「はい」
亮は子供の頃、拓馬に徹底的に教え込まれていた、
平和の精神を思い出していた。

隣で聞いていて亮の秘密を知ってしまった。
小妹は亮の耳元で囁いた。
「亮の秘密ってそれだったの?」
「うんまあ、ただあの秘薬がどれだけ僕に影響を
与えているか分からない、
副作用で突然体に異常がおき死ぬかもしれない」
亮は拓馬に聞こえないように小妹の耳元で答えた。

「それって・・・悲しい」
小妹は亮が作られたスパーマンだと初めて知った。
「もし、異常が起こるとしたら30歳頃らしい、
31歳になったら盛大な誕生会をしよう。
あとこれはみんなに秘密だ小妹」
「うん、ねえ。私が亮の遺伝子を受ける権利がある?」
小妹は真剣な顔で亮に聞いた。

「小妹、まだ処女じゃないか。権利の問題じゃない」
「じゃあ、おじいちゃんに言って許可を取るわ」
「や、やめてくれ。僕が天才を産ませる遺伝子を持っている
事がばれたら大変な事になる」
「それもそうね・・・」
小妹は亮が世界中の女性に追いかけられる事を想像して
大声で笑った。

~~~~~
亮たちはヘリコプターで帝国製薬八王子工場内に着くと
GS4にエレベーターで降りた。
「五郎さん、これです」
滅菌室で体を洗浄し防護服に着替え
緑川五郎にアルミトランクを渡した。
「お預かりします。蓮華さんと桃華さんを見舞ってください」

亮と拓馬と小妹は病室の隔離ベッドに寝かされた
蓮華と桃華のところに行くと沙織が桃華の
バイタルメーターを見ていた。
「沙織さん、桃華の容態は?」
「かなりひどいわ、全然熱が下がらないし呼吸数が多い」
「そうか・・・」

「桃華の血液型はABですよね」
「ええ、そうよ」
亮は沙織の返事を聞くと拓馬を病室から連れ出した。
「じっちゃん、僕の血を桃華に輸血したらどうでしょう?」
「うん、お前の常人以上の回復力から考えると白血球がかなり強く
免疫力が高いそれを考えると効果があるかもしれないな」
「私もそれに賛成です」

アルミトランクを研究室に届けた五郎が後ろから2人の声を掛けた。
「桃華さんの白血球数は今1000しかなく危険な状態です。
それを考えると亮さんの特別な血液は彼女に効果があるかもしれません」
亮の秘密を知っている五郎は自分の恩師拓馬に進言した。
「わかった、五郎君。例の物も与えてくれ」
「了解しました」
亮は隔離ベッドの脇に横になると
桃華への輸血の準備をした。
「まず、200cc。異常が無かったら400cc、
そして必要に応じて
段階的に増やして桃華さんに輸血します」
「日本軍の研究所ですか?」
「飛行機の地下格納庫、射撃場、工作機械、化学研究設備、
 見ものだぞ」
「じっちゃん、飯田さんを知っていたんですか」
「いや、輝樹に紹介されて意気投合してあの広大な
土地を使わせてもらう事になった」
「そうだったのか・・・」
輝樹が「一度飯田さんの家に行ってみると良い」
と言ったのはそう言う理由だった。

「事と次第によっては安全の為にBS4を
飯田さんの土地の研究所に移すつもりだ」
「分かりました、お任せします」
さすがの亮も祖父拓馬の言いなりだった。
「やけに素直だな、亮」
「別に僕はじっちゃんを尊敬しているだけです」
「いや、こうして国際救助隊を作れたのもお前のお蔭だ。
 感謝する」
「え?」

「俺はお前の関わっている会社の株を
持っているからな儲かって仕方がない、
帝国グループだけでは無くてアメリカンウエブも
ランド不動産もD&R(デビッドの会社)も
WSO(ロイの会社)もそしてユニオンチャイナグループも」
「あっ、なるほどそれは儲かっていますね。
でもどれほどの規模か分かりませんが
維持費には莫大な金額がかかりますよ」
亮は暗鬼の組織を維持する金額で心配だった。

「そんな事お前に言われなくてもわかっている」
「ですよね・・・すみません」
亮は拓馬の作った組織などなんの興味も無かった。
「さてお前には何をやってもらおうかな」
「じ、じっちゃんそれは無理です。僕はこれでもかなり忙しいんですから、
 大阪の黒崎正一郎と戦わなくてはいけないんですから」
「わかっている、だから身の回りの整理をしろと言っているんだ。
だいたいお前は今どこに住んでいるんだ?」
拓馬は毎夜違う場所にいる亮が心配だった。
「ええと・・・できたらキャシーの側に」
「そうか、2人目の子供が心配か」
「はい、心配です」
亮は父親としての自覚も芽生えてきた。

「その若さで2人の子供か・・・私の計画通りだな」
「例の僕の実験ですか?」
亮はそれを聞いてうつむいて答えた。
「ああ、徳川家1000年王国」
「1000年王国を作るためには優秀な子孫が必要であり
その子孫を作るための秘伝書ですね」
「ああ、私が古文書を解読してお前が生まれた時から
 古文書に書いてあった通り、毎日秘薬を与え、栄養、教育、運動、
 睡眠時間まで管理して小学校に入る前には見た物を
すべて覚える事の出来る
 優秀な頭脳の人間になった」

「はい、子供の頃は辛かったですけど今は感謝しています」
「問題はお前の遺伝子が相手の女性と絡んで
どれだけ優秀な子供が生まれるかだな」
拓馬は顎に手をやりニヤニヤと笑った。
「じっちゃん、綾香に会いましたか?」
「ああ、お前に内緒でニューヨークに会いに行った。
まだ言葉は話せないが目の力がとても強い気がする」
「ええ、僕もそんな気がします。時々僕の頭の奥に話しかけてきます」
「テレパシーか?」
「はい、それともう1人僕の子が居ます」
「だ、誰だ?」
拓馬は突然亮に言われて驚いていた。
「ハーバード大学時代に精子提供をした時の子が居ます」
「ん?身元は分かっているのか?」
「はい、大学時代の友人のパトリシアのお姉さん、アンナの子
ロバート4歳はキンバリー財団で英才教育を受けているようです」

「何!キンバリー財団!」
「はい」
「亮の子がキンバリーにか、世界中の天才児を集め様々な研究をさせて、
それを世界中に売って儲けている財団だな」
拓馬は自分の実験が成功した事を確信した。
「はい、日本に帰る前にキンバリー財団の人間と接触しました。
 どうやら綾香にも興味があるようです」
「うん、もう目を付けられたか」
「はい」
「キャシーの子も天才の可能性がある、気を付けないと・・・」
拓馬はもう1人誕生する天才が気になっていた。