「なるほど・・・五郎さん。どうして死んでいるマウスと
生きているマウスがいるんですか?」
亮は元気に餌を食べている5匹いるマウスを見て疑問に思った。
「ええ、それが不思議なんです。発症と同時に死んでしまったマウスと
あの様に元気にしているマウスの差が激しいんです」
「まさか、オスとメスの違いじゃないでしょうね」
亮は隣の部屋の個々に分れた靴箱大の透明のガラスケースの
10個を見て言った。
「えっ!」
五郎は慌てて隣の部屋のケースに貼ってあるマウスのデータを見た。
「確かに死んでいるのはオスだけだ!ちょっと調べてみます」
五郎はアシスタントを呼んでマウスのケースを持って行った。
「これってどういう事?」
五郎の慌てた様子を見て小妹が首を傾げた。
「もしかしたら女性が発病しないウイルスかもしれない」
「そんな事有るの?」
「うん、元々遺伝子の性染色体XXを持っている女性と性
染色体XYの男性の違いで女性の方が免疫力が強いと
言われている、遺伝子操作で作ったウイルスなら
直さら顕著だと思う」
「でも蓮華と桃華は発病したわ」
小妹が質問すると亮は透かさず小妹に答えた。
「あれはインフルエンザの症状で奴らの作った
ウイルスの毒性じゃないはずだ」
亮は研究室で記録されたマウスが発病して
短時間で死ぬまでの映像を確認していた。
「亮さんの言った通り死んだのはオスだけです。
それだけじゃなく、」
そこへミーティングルームに入って来た五郎が叫んだ。
「じっちゃん!」
亮が拓馬を見るとうなずいた。
「五郎さん、僕の考えを言います。あのケースに入っていたのが
人工的に作られたウイルスとします。
このウイルスは遺伝子の関係でオスにしか感染しない、
たとえメスに感染しても死には及ばないと考えると
奴らは男にも女にも感染するウイルスを作りたかったが
時間が無い、その為に鍛え抜かれた肉体を持つ
蓮華と桃華にそのウイルスを植え付け宿主にして増殖して
女性にも感染する新しいウイルスを作ろうと
思ったのではないでしょうか?」
亮が五郎に言うと五郎は腕を組んだまま考え込んだ。
「確かにマウスに打ったウイルスと桃華さんの血液から
採取したウイルスに変化が有りました。亮さんの言った通り・・・」
「注射を打ってすぐに発病した蓮華は白血球の反応が早く
体内でウイルス死滅させる可能性があるので
必要なかった、逆に発病が遅かった桃華は宿主になる可能性があったので
茂蔵はゴルフ場にある研究室に連れて行った。どうですか?」
「なるほど」
五郎は亮の推理の速さに舌を巻いた。
「でも、森田はアメリカでウイルステロを起こすつもりじゃないの、
わざわざ日本でやる必要ないじゃない」
小妹は森田の考えに疑問に思った。
「じっちゃん、五郎さん、小妹聞いてください。
もし僕がウイルステロを起こす
シミュレーションをしました」
亮はホワイトボードに事件の流れを描いた。
「なんだ」
拓馬は天才の亮が悪事をシミュレーションしたと聞いて
鳥肌が立った。
「まず、このウイルスです。もしアメリカで
ウイルステロを起こすなら、アメリカへの
潜入方法です。アメリカの近隣国からキャリアが
入国したらすぐに出所が解明されてしまいます。
もし日本人ビジネスマンがキャリアだったら、
ニューヨーク、ワシントン、ロサンジェルスへ
ダイレクトにウイルスを運んでしまう。
そうなればアメリカから見れば発祥地の特定が難しくなり
仮に特定されても日本の先の香港か中国と決め付けてくるでしょう。
感染力の強いこのウイルスは
調査中の段階でアメリカ全土に蔓延してしまい手遅れになる」
「ねえ、ワクチンを作るのにどれくらい時間がかかるの?」
小妹は今まで疑問に思っていた事を聞いた。