グッド・ジョブ媚薬8 黙示禄110 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「大丈夫よ、亮のところへ戻って!」
「う、うん。分かった」
仁木は陰気な感じの須藤がマギーに何かをするのでは無いかと
心配していた。
マギーは自分の体を舐めわすように見る須藤の目線で
自分の虜に出来ると確信した。

「さあ、乗って!安全な所に連れて行ってあなたの身を保護するわ」
「は、はい」
須藤は運転席に座ったマギーの太腿を凝視しながら
助手席に座った。
車を東京フォーラムの地下駐車場から出したマギーは
外堀通りに向かって車を走らせた。
「須藤さんっていくつ?」
「22歳です」
「そう、若いわね」
マギーは微笑んで須藤の方を見た。

「・・・マギーさん日本語上手ですね」
「ありがとう」
「出身はどちらですか?」
「私は香港生まれで事情があってアメリカに渡り、
 ロス市警察に勤務して
 退職してから来日して大阪で英語の教師になったの」
「元警察官だったんですか。かっこいいですね」

「アメリカの警官なんていつも命がけよ。
 そんなにかっこいいもんじゃないわ。
 給料は日本の警察の3分の2、殉職者は
 日本の10人に対して150人以上
 数字的には危険率15倍だけど、
 周りにピストルを持った人間が
 ウロウロしている。身を守る方法を徹底的に
 叩き込まれるけど、もし日本人の警察だったら全滅よ」

「済みません、ビックサイトの方へ向かってくれますか?
 ちょっと用があるので」
「ええ、いいわよ」
マギーは車をビックサイトに向けた。
「確かに日本人は甘い・・・あはは」
須藤は大声で笑った。
「どうしたの?」
「俺に團亮の殺害を命令したのは宮部でもまして塩見でもない」
「えっ!」

マギーの乗った車はビックサイトの駐車場で爆発した。

~~~~~
亮とケイトはF電機株式総会の受付で手続きをして
会場に入り仁木と三雲は会場の外に立って
外にいる塩見の部下たちを睨んでいた。

「亮、遅かったわね」
絵里子が亮の肩を叩いた。
「ああ、絵里子さん。来たんですか」
亮と絵里子とケイトが会場の椅子に座った。
「ええ、見方が少しでもいた方が良いでしょう」
「まあ、そうですね。いなほ銀行と四菱銀行には
協力を断られました」
「そう、じゃあ株が足らないわね」
「ええ、後1億株以上必要です」
「それじゃあ・・・」
絵里子は亮が気の毒でそれ以上聞けなかった。

「亮君」
F電機の元社長が野田の脇に座った。
「ああ、お久しぶりです。野田さん」
「それでどうかな、株の方は?」
「はっきり言ってこっちが握って居る株は29%です」
「そうか・・・もう少しだったな。こちらはあなたに出してもらった
 資金で、取締役を何人か味方に付けたよ。
とにかく緊急動議を取り上げてもらいたいものだ」
「そうですね」

会場が満員になると塩見の何人もの部下たちが通路に立って
監視しているようだった。