グッド・ジョブ媚薬8 黙示録90 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「はい、現金で持っているとは考えられません。
海外に持ち出したか株に変えているんじゃないでしょうか?
田代悦子の口座に株の配当金が振り込まれていますから」
和美は亮に分かり安く説明した。
「そうですか、田代さんは完全に自分の口座を勝手に使われていますね」
「ええ、それと台帳には3億円の借用書が挟まっていました」
「誰ですか?」
「岡村達也です」

「やはりそうですか。今日ルーセントホテルで
黒崎正一郎と岡村幹事長の食事を
玲奈さんが目撃しましたが、ただならない関係だったんですね」
「現在、政治資金は政治家の資金管理団体に個人では
最高150万円まで、企業からの献金は許されていません。
そこで献金者を何人にも分けて寄付している人がいるようです」

「借用書のお金は、表向きは借金ですが
もし返さな無ければ献金と同じです」
「これからコンピュータのデータの分析に入りますので、
事実関係が見えてくると思います。少々お時間をください」
「大変だと思いますがよろしくお願いします」
亮は和美の力を信じていた。

亮は大学テニス部の先輩落合に連絡をした。
「落合先輩、お久しぶりです。團亮です」
「おお、團。ハワイで大変だったそうだな。
証券会社の方はうまく行っているか?」
「お陰さまでうまく行っています」
「それで今度は何の用だ?」
「すみません。国税庁にお知り合いがいらっしゃいますか?」
「国税庁は財務省の管轄だ!」
財務省のキャリアの落合は亮を見下すように答えた。

「ちょうどいい。ある人間を調べて欲しいんです」
「だれだ?」
「黒崎正一郎です」
「あの黒崎グループの黒崎正一郎か?あいつはたぶん無理だ!」
落合は簡単に答えた。
「どうしてもだめですか?」
再度亮は落合に頼んだ。
「まあ、国税の人間を探しておく、明日連絡をする」
「済みません、お願いします」
亮は美咲の初めての男が落合だと
知っているだけに落合との会話が苦手だった。
「ふう・・・やはり今度は美咲さんに頼もう」

亮は落合との電話を切ると悦子の居るベッドルームに戻った。
「悦子さん海外に仕入れに言った時、
黒崎さんから何か頼まれませんでしたか?」
「はい、香港に行く時現地の黒崎の会社の人に
シンガポールドルを渡しました」
「どれくらい?」
「200枚くらいですけど・・・」
「何ドル札?」
「それは見ていません」
「おそらく高額紙幣の10000シンガポールドルでしょう」

「えっ、それってどれくらい?」
「1シンガポールドルは78円、シンガポールの
最高額紙幣は10000ドルです
から200枚で1億5千万円です」
「それって法律違反じゃないの?」
「はい、500万円以上のお金を海外に持ち出す事、
送金する時は届け出がいります。
 それを怠った場合、外為法違反です」

「じゃあ私も・・・」
「それに関しては刑法ではありませんから大した罪にはなりません、
 その外為法違反から推測される脱税が問題なんです」
「黒崎の手口良く分かったわ、亮さんありがとう。今夜別れ話を伝えるわ」
「気を付けてください、逆上する可能性があります」
「はい・・・」
亮は悦子の部屋を出ると銀座に向かった。
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銀座の蝶には内村と甲山と徳田そして黒崎が入って来た。
「いらっしゃいませ」
絵里子が4人に深々と頭を下げた。
「ママ、今日は黒崎さんと一緒だ」
内村がにこやかな顔をした。
「珍しいわ、みなさんが一緒なんて・・・」
絵里子はまず黒崎に語り掛けた。
「うん、会議で内村さんの声を掛けられてね」
正一郎の一言で絵里子は亮の作戦通りに事が進み思わず微笑んだ。
「黒崎さん、今日は新人の娘(コ)紹介します。美喜ちゃーん」