グッド・ジョブ媚薬8 黙示録84 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

蓮華が冷静に3人に声を掛けた。

4人は住人になりすましエントランスに入り
桃華は部屋番号を押す為のテンキー脇に付いている黒いセンサーに
カードを近づけて解錠した。
「20階よ」
桃華が3人をリードしてエレベーター入りボタンの下にある
センサーに再びカードを近づけた。
「二重ロックか・・・スゲーな」
仁木がエレベーターの中にまでセキュリティが付いている事に
驚いていた。

「分譲だけど月々の管理費が15万円だって」
「ワオ、俺の部屋の家賃より高い!」
桃華が答えると仁木が声を上げた。
「しかし、そのカードいつの間に?」
ル・シェルの席に一緒にいた三雲が桃華に聞いた。
「さっき、私がクロークに忍び込んで
 田代悦子の鍵のデータを盗んだ」
「ICのデータコピーって例の国城正章が作ったやつ?」
「うん、亮がそれに改良を加えて擦るだけでデータを
 コピーしてしまうカードを作ったの」

「本当か?もし悪人がそれを手にしたら大変な事になるぞ」
「大丈夫、私悪人じゃないから」
桃華が笑って三雲に答えた。
「まあ、そうだな。しかし亮さんは薬剤師だろう、
 なぜ電子機器に詳しいんだ?」
「亮は一度見聞きしたものは覚える能力を
 持っているから何にでも詳しいのよ。
 話によると抱いた女性の全身の体の
 ホクロの数まで覚えているんだって」

「あはは、そんな事都市伝説だよ。
 そんな人間が居たらメモリーオーバーで
 脳みそが爆発する」
三雲はまったく桃華の言う事を信じていなかった。

エレベーターを降りた4人のうち、
桃華と蓮華は田代悦子の部屋
2003号室に向かい、仁木と三雲は
屋上に向かった。
「桃華、部屋の前でウロウロしていたら
 防犯カメラに映ちゃう。
 非常階段で亮の合図で部屋に潜入しょう」
「了解」
桃華は蓮花の指示に従った。

「ああ、まだやっている」
亮の持っている盗聴器からの声を聞いた、
蓮華が呆れた声を出した。
「待って!合図を送っているわ」
「本当だ。壁を3回蹴った!行こう」
蓮華と桃華が非常階段から早足で向かい悦子の
部屋のドアを開け中に入り込んだ。
「どの部屋かわかる?」
蓮華が小声で聞いた。
「ええ、3LDKリビングの隣の部屋が
 寝室だから左側の部屋が書斎だと思う」
2人は左側の部屋の前に立つと奥の部屋から
悦子のなまめかしい声が聞こえていた。

「鍵がかかっている」
蓮華が桃華に言った。
「了解」
桃華はピッキングのセットを取り出して鍵穴に突っ込み
10秒も掛けずドアを開け中に入ってドアを閉め室内灯を点けた。
「ここの部屋だわ」
桃華は本棚を背にした机を見て確信した。
「桃華パソコンの方をやって、私は書類を探す」
「OK」
桃華はノートとパソコンを開けて
キーボードにスプレーを掛け室内灯を消した。

するとキーが白く光り出し、
桃華はそれを写真に撮りメールで送った。
「蓮華見つかった?」
「机の引き出しの中には無かったわ」
蓮華は本棚の本を引いて本の後ろを覗き込んだ。

桃華のスマートフォンにメールが送られてきた。
「パスワードsho0512」
桃華がそのパスワードを打つとパソコンが立ち上がった。
桃華はUSBメモリーを差し込むと
USBメモリーがピカピカと光だし
パソコンのデータのインポートを始めた。

「桃華、本棚の後ろに隠し金庫があった。きっとここよ」
「困った、この金庫は時間が掛かる」
桃華は金庫のダイヤルを回し始めた。