グッド・ジョブ媚薬8 黙示録74 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

亮は仁木と三雲と小妹と美喜がどうしているか
心配だった。
「体が鈍ると言ってこちらの格納庫で訓練しています」
「小妹かマギーか美喜さんをボディガードに連れて行ってください」
「分かりました」
五郎の声は心なしか上ずっていた。

亮が電話を切ると来島幸子が呼びに来た。
「團さん、ピーエヌエーの取締役会で
 アメリカンウエブの買収が承認されました」
「了解です。それでいつ打ち合わせを?」
「私たちが今からピーエヌエーに出向いて交渉します」
「お願いします」
亮は自分が勉強を教えた幸子が渉外弁護士として
仕事を成功させた事がうれしくて親指を立てて合図した。

部屋に戻ると美咲とキャシーと2人と刑事が笑っていた。
「あれ、どうしたんですか?」
「キャシーが日本語を話していたの?」
美咲が笑って答えた。
「どんな?」
「ナイショ」
キャシーが人差指を口に当てて笑った。

「團さん、原警視から詳しい話を聞きました。
 現場に居た2人の素性も分かりましたので、
 姿を消した小針茂蔵を手配する事になりました、
それから宇佐美で捕えられた2人の聴取の結果は
後ほど連絡をいただくことで・・・」
「そうですか、それで良かった」
亮は仁木と三雲が手配されずホッとしていた。

芹沢、阿見刑事が帰った後、亮が美咲に聞いた。
「美咲さん、2人に何を話したんですか?
急におとなしくなったけど」
「あなたがハイジャック事件を解決した
有名な秘密捜査官Rだと言っただけよ」
「ん?それは僕の事?」
「ええ、警察組織の中ではヒーローよ」
「知らなかった・・・」
亮はハイジャック事件を解決したのが
秘密捜査官Rと呼ばれていたと初めて知った。

「それは本人だからよ。あの事件の後に
 世界中をヒーローは誰かと言う情報が飛び交って
 すごかったんだから」
キャシーは嬉しそうに体を揺らした。
「ああ、そうか。確かにその頃は別の世界に居た」
「じゃあ私、警察庁の方に戻るわ」
美咲が席を立つと亮が神妙な面持ちて美咲に言った。
「美咲さん、僕捜査官を辞めようと思っています」
「えっ!どうしたの急に」
美咲は驚きのあまり血の気が引いていた。

「話せば長いけどそろそろビジネスに打ち込もうと思っています」
「ええ、それはわかるけど・・・」
「今急にではなく、茂蔵の事件が解決するまでと言う事で」
亮は美咲に嘘をついた。
「たぶん、父は慰留すると思うけど亮の言っている
 意味は分かるわ。
 こんなに仕事が忙しいんだもの」
美咲は亮の立場を理解して答えた。

「約束通り警備会社を作ってOBの受け入れはします。
 その警備会社株をお母様の名義で5000株をお渡しますので
 お父上の警視総監に成る為の資金にお使いください。
 変なお金は仕事柄まずいでしょう」
「あ、ありがとう・・・」
亮が簡単に言ったが美咲は5000株が
どれくらいになるか想像がつかなかった。

「亮、どうすればいいの?」
「資金が必要になったら買い取ります。
 上場まで待っても良いですけどね」
「とにかく、私たち亮の力が必要なのもう少し考えて」
「はい」
亮は仕方なしに美咲に微笑んだ。

美咲が帰るとキャシーが亮の手を握った。
「亮、東京第一不動産とランド不動産合併、
 ピーエヌエーの買収が終わったら
 次は何?」