「團さん」
亮が冬美の肩を軽く叩くと
冬美は抱きついて大声を出して泣き出し
亮は冬美の複雑な心のうちを知って
気の毒に思っていた。
「冬美行きましょう」
かおるは冬美をなだめ連れて行った。
「美咲さん、あの2人はどうなるんでしょう?」
亮は2人の行く末を心配した。
「この家はもう住めないでしょうね。
でも蓄えはあるはずだから食うに困らないと思う」
「ええ、いじめに会わないと良いんですけど」
「そうね、今まではヤクザの娘だから誰も手を
出さなかったでしょうけど
父親が死んだから今までの同級生の鬱憤が・・・」
「そうですよね・・・心配です」
亮はたとえ鬼になったとしても自分が冬美の
父親を殺した責任を感じていた。
「亮、用事は終わった?」
美喜が腰に手を当てて聞いた。
「あっ、さっきはありがとう。まさか美喜さんが
忍者だったとは思いも寄りませんでした」
「ええっ!美喜さんのお父さんってアメリカ人だったんじゃないの?」
マギーが不思議そうな顔をして聞いた。
「ええ、父はアメリカ軍の第75レンジャー連軍で
甲賀に修行に来ていたのそして母と知り合って私ができたわけ。
私は忍者の家系が嫌で家を出てモデルの世界に入ったの」
「それから、仁美さんのところに?」
亮が聞くと美喜が黙ってうなずいた。
※ 第75レンジャー連軍は米特殊作戦陸軍の傘下で
隊員は2500名ここで訓練を受けたものが
グリーンベレー、デルタフォースに入隊する。
パラシュートで空から舞い降り地を這い川を渡って
任務を遂行する作戦行動は正に忍者に酷似するものである。
「凄い!美喜が忍者なんて」
小妹は嬉しくて美喜に抱きついた。
「小妹なの?」
美喜は顔かたちの変わった小妹をしみじみと見た。
「ゴメンね、もう少しで元に戻れるわ。もちろん亮もよ」
小妹は美喜を安心させるためにニッコリと笑って答えた。
「美喜さん、ひょっとしたら?他にもメンバーいらっしゃいますよね」
「そうです、私は甲賀を離れてずいぶん経つので分かりませんが、仁木さん、三雲さん、醐来さん、六角さん他に石川さんと四方堂さんがいるはずです」
美喜は亮に質問に答えると首を横に振った。
「後2人は4人の誰かに聞かなくてはいけませんね。美咲さん」
「ええ、明日話しを聞きましょう」
美咲が答えると突然声を上げた。
「あっ!絵里子さん」
亮は絵里子の事を思い出し慌てて周りを見渡した。
「何処へ行った?」
亮は携帯電話で絵里子を呼び出した。
「ママ、何処ですか?」
「お店よ。最初は遠巻きに見ていたんだけど
警察に追い出されて戻ってきちゃった」
「ああ、良かった」
亮は絵里子が鬼に何かをされたか心配だった。
「そうだ、これから亮の出勤の時は私の迎えと送りお願いね。
大事なお客さんもあなたに頼むわ、
五島商事もこれから使ってくれるそうよ」
「あ、ありがとうございます」
亮は出来るなら自分だけで無くグリーン交通全部を使って欲しかった。
しかし、その為には運転手教育が必要だと感じた。
「森さん、美喜さん、小妹、マギー。これから僕は仕事があるので」
「何だってこれから仕事!疲れていないのか?」
亮が仕事をすると言うとクタクタの森は信じられなかった。
「7時に仕事が終わるので関市に行きましょう」
「わかった。居眠り運転して事故るなよ」