デビルハンター亮 38 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「ええ、事件が起きたのは昨日の17時30分、

 東横線の渋谷発横浜中華街行きの

車内でイヤフォンから漏れる音楽の音が

 うるさいと老人が学生風の男2人に注意して逆切れされて

 停車駅で引きずり出されホームで殴られて後頭部を強く打って

 脳内出血で死亡した」

「遺族は?」

「電車に一緒に乗っていた奥さんと浜松に住む息子一家よ」

 美咲が奥さんと言った瞬間、亮の全身に鳥肌が立った。

「それでその奥さんは?」

「ご主人と一緒に暴行を受けて意識がまだ戻っていないそうよ」

「気の毒に・・・」


17時30分という時間は帰宅の人で車内はいっぱいなはずなのに

誰も止めに入らなかった世の中の冷たさが亮には信じられなかった。

亮はもし男たちが鬼に殺されるならそのまま放っておきたかった。

亮はちょっと考えて込んで小妹と美咲と樫村に車に乗るように

指示をした。

「僕は夜野礼司さんのような霊能力が無いので

 鬼を探し出すことが出来ません。

 これから先は僕の想像でしかないのですが聞いてください」

「大丈夫あなたの想像は現実よ」

美咲は心から亮を信じ小妹と樫村がうなずいた。

「まず、鬼の世界。これはこの世と死んだ霊が行く世界冥界の間にある。

 昔から言われている地獄です。その世界にいる鬼たちが

自分の世界に人間の魂を呼び込むために人間を喰ったり殺戮を繰り返す」

「なるほど・・・」

樫村は亮の言っている事が面白感じられるようになった。


「でもそれだったら大量の鬼が人間の世界に入り込んで

 人間は食べ尽くされているはずだけど・・・」

「僕もそれを考えました。おそらく鬼が人間の世界に入り込むためには

 何らかのルールがあるんだと思います。

 タクシーの運転手の心臓を喰っていた鬼は

 夜野礼司だけを狙っていましたから」

亮は美咲の問いに答えた。


「じゃあ、さっき話しをした通り今回のイヤフォンの

 犯人は鬼自信ではなく鬼が人間に取憑いているわけよね」

「ええ、おそらく鬼の世界から鬼の取憑きやすい

 人間を探してそれを発見したら速やかに取憑き人を襲う」

亮は美咲の問いに答えると小妹の方を見た。

「亮、取憑かれやすい人間って?」

「誰かに恨み、つらみ、憎しみ、殺意そして悪意を持っていてそして

 心に空白があった人・・・です」

亮はそう言い切った。

「じゃあ、森岡紀子さんを殺したのは誰?」

「美咲さん紀子さんの事故で亡くなった先生の身内に

 病気あるいは入院中の人がいないか知らべください。大至急!」

「どうしよう、先生の名前を聞いていなかった」

「先生の名前は南洋一さんです」

「どうして知っているの?」

「あの事故は覚えていましたから」

「何か印象的な事があったの?」

美咲はどうして亮が甲府の事故を覚えていたか不思議だった。

「いいえ、ただ新聞に載っていたので覚えていただけです」

美咲は亮の記憶力の良さに驚きながら

山梨県警に電話をかけ南洋一の身内の調査を頼んだ。

「美咲さん、時間が無いので被害者の入院している

 渋谷方面に向かいましょう」

「ええ、そうね」

樫村は警察署の駐車場から車を出して山手通りのある要町に向かった。

そこへ甲府警察から電話が掛かってきた。

「原警視のお電話ですか?」

「はい」

「お問い合わせの件ですが、昨日の夕方笛吹正子さんが交通事故を

起こしましてその方が南洋一さんの婚約者だったようです」

「それでその笛吹正子さんは?」

「はい、先ほど病室で亡くなりました」

「分かりました。ありがとうございます。でも早かったですね」

「はい、2年前と同じ現場で元恋人同士が橋の欄干から車が落ちるという

事故だったので地元の人達が騒いでいたものでしたから」

「そこは事故が多いんですか?」