亮は中国語で話すと
一文字は亮の顔を見ずに呉の居る方へ歩いて握手をした
「你好」
一文字は珍しく中国語で挨拶をした
「私が通訳をしますナンシーです」
ナンシーは日本語で一文字に挨拶をした
「さっそくですが、HSBCの小切手を見せていただけますか?」
ナンシーが言うと一文字はバックから小切手帳を出して見せた
「まだ、金額は書いていませんが」
「もちろんです、危険ですから。ちょっと調べさせてもらいますよ」
呉はそう言うと口座番号をノートPCに入れて確認した
「ではパスワードを押してください」
ナンシーはノートパソコンを手に持って一文字の前に置いた
一文字はパスワードを打つと残高が現れた
それを見た呉は
「はい、確認しました。さっそくお金を用意します、
手数料は6%で18億円、お渡しするのは282億円でよろしいですね」
呉が一文字に頭を下げた
「はい、よろしくお願いします」
一文字が言うと
「金額が大きいので私どもの警備員がコンテナの船積から出航まで
責任を持ってガードします」
「それはありがとうございます」
一文字が言ったその時、千野の顔が引きつり
正面で千野の顔を見た文明はそれに気付いて
千野が何かを企んでいるのが分かった
「我々は今から動き出すので契約破棄はできません」
「はい」
呉は一文字に握手を求め強く握り合うと耳元で日本語で聞いた
「ボディガードを付けますが男と女どっちがいいですか?」
「女がいいです」
一文字は笑って答えた
「はい、承知しました」
呉が一文字にガードをつける理由は
一文字の身を守るだけではなく口座から金を下ろしたり他に
小切手を切らないように監視するためもあった
「女性のボディガードじゃ心配です、私の方が手配します」
千野が声を荒げて言うと呉が手を叩いた。すると黒いスーツ姿の
蓮華と桃華が隣の部屋から入ってきた
「大丈夫です、2人は特殊部隊の訓練を受けているボディガードです」
「あっ、蓮華と桃華」
亮が呟いた
蓮華と桃華がサングラスをはずすとそれを見た
一文字がニヤリと笑った
「美人ですね」
「満足いただけましたか?」
「はい、このまま日本に連れて帰りたいですよ」
一文字はにこやかに返事をした
「では今夜8時に港で」
呉が言うと一文字はうなずいて蓮華と桃華に前後を挟まれ部屋を出て行った
一文字に顔を見られないように頭を下げて見送った亮がドアを閉めると
「みんなあの男は一文字を裏切るぞ、現金輸送は気合を入れていかないと危険だ」
文明が大きな声を上げた
「はい」
呉は背筋を伸ばして返事をした
「呉、282億円はどれくらいの量だ」
「44×44のダンボールでの箱で57箱で1箱5億円です」
呉が答えると
「重さは?」
「1万円札1枚で1gですから1箱50kgちょっとですね」
文明にの質問に亮が答えた
「凄い量だな」
文明は驚いていた
そこへ小妹が部屋に入って来た
「お疲れ様」
「おお、シャオメイ来たか」