グッド・ジョブエピソード0 留学編49 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「実家が商売をしているのでこの時期はとても忙しいんです」

「実家は何の仕事をしているの?」

「宝石屋です」

「凄い、宝石屋さん」

「パティ、ニューイングランドクラムチャウダーを食べたいんですけど

美味しいところありますか?」

ニューイングランドクラムチャウダーはトマトベースの

マンハッタンクラムチャウダーと違って貝を入れたクリームベースの

チャウダーです

「リーガル・シー・フーズと言うお店が有るけど席が空いているかしら」

「とりあえず行って見ましょう、10軒ありますから」

「行った事るの?」

「いいえ」


亮は携帯電話でリーガル・シー・フーズに予約の電話を入れた

「亮、からかっているの?電話番号知っているじゃない」

「ええ、今日の為にボストンのレストランの電話番号を全部覚えてきただけです」

「全部?」

パティは亮の言っている事が理解できなかった

2人は夜の港が見えるお店に入ってテーブルに座った

「亮、ありがとう連れてきてくれて」

「いいえ。こっちへ来て3ヶ月たったけど、何処へも行っていなかったんです」

「うふふ、亮は勉強ばかりしてるものね」

「ニューヨークで少女誘拐殺人の事件があったの知っていますか?」

「ええ、今朝のニュースで見たわ」

「アメリカは怖いところです。パティも気をつけてください」

「ええ」


亮の意味の分からない言葉にパティ首をかしげた

「実は被害者の友達の通訳をしていたんです」

「本当、もっと詳しく聞かせて」

サスペンスドラマが好きなパティは興味深々だった

「じゃあ」

亮は白尾尚子の名を伏せCDを投げて犯人を捕まえたのは

フレイザー警視として話をした

「きゃあ、面白い。CD投げ」

「そうですか・・・練習してみようかな」

亮は子供の頃、夏休みは軽井沢の別荘で勉強漬けでだったので

休憩時間にCDをフリスビーのように投げて遊んでいた

「うんうん、やってみて」

いつもおとなしい感じのパティは手を叩いて目を輝かせて亮に言った。


「あのう、パティって意外とサスペンス好きなんですね」

「うん、大好きなの」

亮が言うとパティは

「亮って意外とたくましいのね」

一方パティは料理好きのガリ勉で女性的な

亮が意外とたくましかったので驚いていた。

「そうですか」

亮はそう思われていた事にショックだった

「私、本当はFBIに入りたかったんだけど父に反対されていたの」

「そうだったんですか。じゃあクリミナル・マインドなんか」」

「大好き!スペンサー・リードに亮が似ている」


「ああ、3つの博士号を持っていて1分間で2万語の単語を読む男ですね」

「凄いわね。1分間で出来るのかしら」

「1ページ当り3秒で読むのは不可能ですあれは

ピクチャ・メモリ能力とか直観記憶能力と言うんです。

つまり見た瞬間に脳に録画して後でそれを再生する記憶能力です

「亮もそのタイプ?」

「いいえ、僕はそんなにすごくありませんよ」

亮とパティは共通の話題で盛り上がり

今までぎこちない関係の2人に

何か暖かいものが生まれてきた

そして、ポケットに入っているコンドームを握り締めた亮は

使うにはまだ早いのに気がついていた


「どうしたの?亮」

「いや、パティの家族って暖かいなあと思って」

「ええ、とても」

パティは幸せそうな顔をしていた

亮はアメリカに来て色々な家族を見て

愛の存在、価値をもっと知りたくなり

周りの人間が自分を慕って家族のような扱いをしてくれるが

それが本心か偽りか、それを証明する方法が有るか悩んだ