良子は何かを言いたげだった。
「では、また」
亮は伝票を持って立ち上がろうとすると
「ああっ、團君。連絡先交換しよう」
「は、はい」
2人はアドレスの交換をして別れた
亮は古文書の解読は順調に進んでいた
正月過ぎに古文書が入っている桐箱の蓋が
ずれて倒れたとき変な音がした
「ん?」
90cm×45cmの大きさの蓋の内側の板を叩くと
ビビリかんのある音がし
溝に桐の板がはめ込まれ、いじると
箱根細工のようにスライドし中から3冊の
團正志斎が書いた3冊の古文書が出てきた
1冊目は漢方薬の製造法が細かく記されていた本で
その内容は、将軍の体調維持用、精力剤製造法
2冊目は飲んでいるだけで女性がいってしまう究極の媚薬の
製造法
3冊目は女性をSEXのテクニックの体位、
女性を感じさせるためのツボの図解入りの本で
まだ女を知らない亮にとって3冊目は理解しがたいものだった
そんなある日亮は父親に古文書の話をした
「ほう、面白そうだな、その本は」
「ええ、ただ3冊目が・・・」
「そうか、亮はまだだったのか。あはは」
「あはは、って」
「まあ、好きな女が出来れば実践で来るだろう。がんばって解読しろ」
「はい」
「そうだ、飯を食いに行こう」
輝樹は中華料理店の孟林に入った
「ここに来るのは初めてか?」
「ええ、お正月に和食の『みやび』に行きましたけど」
「爺さんの拓馬は、貿易商を営業のために和食のみやび。
フランス料理のローラン・ギャロス、焼肉の銀遊亭、
そして中華料理の孟林を作った」
「ええ」
「海外から来きた連中に食べさせても恥ずかしくない料理だ」
「儲かっているんですか?」
「もちろん、いい料理人を雇ったお陰で支店が出来て黒字だ」
「えっ?何店舗あるんですか?」
「札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、福岡に
各支店があるから合計で30店舗ある。
他にローラン・ギャロスパティシエが作ったケーキの店も有る」
「えっ、そうなんですか?知らなかった」
「だから、俺が忙しいのが分かるだろう」
「はい、ありがとうございます」
「そういう訳で、正直亮が医者になると言われた時はがっかりしたんだ」
「すみません」
「いや、ご先祖は御典医だったんだから
その血を受け継いだと思っていたんだが
でも考えが変わってよかったよ
「ええ」
「元々帝国物産は医療器具の輸入から始まって、
輸入家具や宝石を販売する
美宝堂が出来たわけだ」
「そうだったんだ」
「うん、それで日本中にある病院のルートを利用して
製薬会社を作ったんだ」
「すべての仕事に理由があったんですね」
「これが、個人経営のメリットだ」
「じゃあ、美宝堂はどうして作ったんですか」
「うん、人はどんなにまじめで、優しい心を持っていても
汚くて醜い格好をしていては誰も信用してくれない。分かるか」
「ええ」
「そして、良い物を持っていると精神的にゆとりと
自信を持って来るんだだから、美宝堂ではその良い物を売っている」
亮は輝樹に頭を下げた
「お父さんすみません」
「何がだ?」
「僕は、先祖の事やお父さんの仕事何も知りませんでした」
「うん、いくら美佐江や千沙子が優秀でも、これだけの組織を
コントロールできる才能はあると思えない」