ホラー小説 地獄タクシーⅡ 八章 髪鬼 34 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

礼司は顔を上げて屡奈の方をみると

弓の黒い弦が光はじめていた

「それはなんだ?」

礼司が指を指すと

「これは金子先生にいただいた弦ですけど」

「ひょっとしたら」

礼司は屡奈が持っていた弓を手に取ると

髪に向って弦をはじいた

「ビーン、ビーン」

弦の音で髪がどんどんと縮んでいった


浜田は飛田の家のドアをドンドンと叩いて叫んだ

「警察ですドアを開けてください」

しかし家の中から返事が無かった

「まいったなあ、都議さんの家であまり大声を出して

 騒げないし」

浜田はブツブツと言いながら由美たちのところへ戻ってきた


「しょうがない、屋根の上に登って切るか」

浜田は屋根の上を見ながら寿々が持っているハサミを手に取るとその光が消えた

「なんだ?」

「そのハサミは寿々ちゃんじゃなきゃ駄目みたい」

「私、上に登って切ってきます」

寿々は由美に頭を下げて頼んだ

そこへ髪鬼が気づいたのか針金のような髪の毛が

次々に三人のところへ飛んできた

「危ない!!」

浜田が声を上げると寿々を持ち上げて走り去るバイクがあった

それを見ていた浜田と由美は車の中に逃げ込んだ

「あれは?沢村」

バイクはUターンして車の後部席の前につけて

二人はすばやく乗り移った

「お久しぶり」

「ご苦労様」

「仲間はずれは嫌ですよ」

「だって、遠いんだもの。山形は」

「すみません、隊長は?」

「向こうの世界で戦っているわ」

「でもこっちに鬼が現れていると言う事は向こうはかなり苦戦しているようですね」

「ええ」




「よし!だいぶ嫌がっているようだ」

礼司は音を鳴らして髪の毛たちが逃げる方へ追いかけていった

「この先に鬼、髪鬼がいるわけね」

「ああ、行くぞ」

礼司は弓の弦をはじく作業を屡奈に譲り

礼司と山野は片っ端から髪を切っていると

「きりが無いな」

「ええ」

「燃やすか」


にほんブログ村 小説ブログ ホラー・怪奇小説へ