ホラー小説 地獄タクシーⅡ 八章 髪鬼 29 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

寿々からハサミを受け取った一徳が

穴孔を触っていた

「後で色を塗っているな」

「うん、根付も光らないよ」

魔美が根付を近づけていると

「じゃあ、これは鬼の道具ではないんですか?」

「いや、上の物をはがせば使えるかもしれない」

一徳はバッグの中から紙やすりを取り出し

ハサミを擦りだした

「先生どうですか?」



礼司が聞くと

「剥がれん」

「どうして金を覆ったのでしょう」

「多分封印だ。鬼の武器を封印したんだろう」

「なるほど」

「寿々、こっちのハサミ返しておく霊気が出ているから役に立つだろう」

「は、はい。私何かやるんですか?」

「十二時までは由美先生に付き合ってくれ」

「分かりました」



礼司は時計を見て言った

「さあ、鬼退治の時間だ。準備は?」

「はい、弓の方は黒い弦を張りました」

屡奈が元気な声を上げると

「山野、この小刀預けておく」

「ありがとうございます」



礼司は十一時調度にエンジンをかけ

アクセルを踏んだ

車は金色に光り浜田たちの前から消えた

「着きましたぞ、みんな」

「なんだ、何も変わっていないじゃないか」

金子が不満そうに回りを見渡した

「見てください」

礼司が指を指すと

飛田の家の周りが赤月の光を浴び

サラサラした黒い物が次第に空から降りてきていた

「あれは?」

屡奈はそれを指差した

「髪の毛だ巨大な」

「どうなるの?」

「家の中に入ろうとしている」

「戸締りするようには言ってあるんでしょ?」

屡奈は髪鬼が家に入らなければ大丈夫だと確信していた

「言ってあるが、髪の毛一本の細さじゃ何処からでも入れるさ」



「夜野さんよ、こっちの世界には飛田さんと言う人はいるのかな?」

「いいえ、やつらが襲うのは十二時です。

その前に我々の手で退治をすればいいわけです」

「なるほどな」

「世の中の突然起きる出来事はすべて、密かに裏で動いていると言うわけです」

「わかった、じゃああれを殺っちまおう」

「はい、そのつもりです」


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