官能小説 グッド・ジョブ 媚薬 血の聖餐 43 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

ホールの入り口に出るとモニカが客席から車のキーを持って

追ってきた

「待って私も行くわ、スティーブを迎えに行かなくちゃ」

「ああ、助かります」

二人は地下の駐車場から出てくると

外にいたジャック・チョウの部下の車が後を付けた

「凄いLX570トヨタランドクルーザーだ」

「うふふ、亮に会った時からすっかり日本通になってしまったわ」

亮は子供のように中をキョロキョロと見渡たした

「亮、やっと二人きりになれたね」

モニカは助手席の亮の方を向いてうれしそうに言った

「ああ、そうですね」

「気の無い返事ね」

「別にそう言う訳じゃないけど、君にはスティーブがいるし僕にも」

「そうか、日本人は遠慮深いのね。私の事嫌い?」

「いや、好きですよ」

「よかった」

「モニカにだけに言うけど」

「なに?」

「僕の子供が生まれた」



モニカは一瞬顔をこわばらせたが

「本当、おめでとう。赤ちゃんの顔が見たいわ」

「はい、近いうちにお見せします」

「えっ?ニューヨークに連れて来ているの?」

「ええ、と言うかこっちで生まれました」

「ええっ?誰の子」

「仁美さんの子です」

「じゃあ、亮結婚したの?」

「それが、なぜか結婚してもらえないんです」

亮は肩を落とした

「そうか、なるほど」

「何が、なるほどなんですか?」

「子供を作れば永遠に関係が切れないもの、結婚より絆は強いわ」

男性と違った女性の考え方に何もいえなかった



JFケネディ空港に着くと千沙子の乗った飛行機の到着時間を確認した

「ああ、一時間遅れの十七時二十五分到着だ!」

「私の方は定時の十八時五分到着よ」

「向こうに着いてから二時間か」

「フィッティングは手伝うわ」

「ありがとうございます」

亮がモニカに礼を言うと


「團さん」

亮は自分の名を呼んだ声で振り返った

「樫村さん」

「はい、お疲れ様です」

「どうしたんですか?」

「一文字の部下がこっちへ向っている情報が入ったので、

ここで張っているんです」

「部下?」

「ええ、今はストレートHDの社長の磯村です」

「ああ、そうですか。社長になったんですか」

「ええ、二ヶ月前に一文字の逮捕劇があったもので

その時に」

「じゃあ、十六時二十五分着の?」

「そうです。一時間遅れていますけどね」

「團さんの方は?」

「日本から衣装が届くので迎えに」

「そうか、同じ飛行機か」

樫村は時刻表を見上げた

「そう言えば、團さんは原警視と同級生だそうですね」

「ええ、何か?」

亮は美咲が自分の秘密の身分を明かしていない事がわかって

ホッとした。

「原警視はキャリアなのに全然偉そうにしていないんです」

「いいじゃないですか。いい人で」

「いや、困るんです。いい人じゃ」

「ええっ?どうしてですか」

「私、原警視に出世していただきたいんです」



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