亮はジュディに電話をして
汐留ロイヤルホテルの部屋を使いたいと伝えた
「いいわよ」
「ありがとう、ジュディもう少しですから待っていてください」
「はい、信じているわ」
亮は何故か言い訳っぽい自分に苦笑した
「山際さん大丈夫です、ホテルただで使えます」
亮が恭子の方を見た
「えっ?本当」
「はい、社用で使っている部屋を貸してもらう
事になりました」
「そう、うれしい」
ロイヤルホテルの2010号に入った二人は
「うふふ、いざ二人きりになると恥ずかしいですね
私は二年ぶりだから」
恭子はカーテンを開けて夜景を見ていた
「じゃあお風呂に入ってきてください
鍼をやりましょう」
「うふふ、そうね」
恭子が白いガウンを羽織ってバスルームから出てくると
恥ずかしそうにベッドにうつ伏せになった
「鍼の前にアロマオイルマッサージしましょう」
「元木さん、できるんですか?」
「ええ、ただアロママッサージはエステで女性の
領域なので男の僕の出番は無いんですが
医療的見地から行けば僕がやった方
がいいかもしれませんね」
「そうね、治療なら元木さんがやった方が安心できます」
亮は恭子の背中にオイルをたらし手のひらで
円を描きながら首筋のリンパをマッサージを始めると
「気持ちいい」
「ありがとうございます」
「じゃあ、ちょっと早いけど話すわ」
「本当ですか?」
「実は帝国製薬の株購入に200億円の資金を頼まれているの」
「えっ誰にですか?」
亮の手が止まって恭子に顔を近づけた
「ストレートグループの一文字社長です」
「やっぱり」
「帝国製薬はインスリン浸透式ベルトの特許も
持っていて業績も良いし、かなり利益が出そうなんです」
「調べていたんですね」
「ええ、でも気が乗らないのよ。紹介者が総会屋の山口だから、
それに元木さんがいるし」
「あはは、これって」
「ええ、運命だわ」
恭子は仰向けになって
目を閉じて亮を求めた