優子の空2 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

13年前の228 
優子は11歳小学5年生、

父親義明、母文子と

池袋のデパートへ行った。
「まったく、いつまでまたせるんだよ。

そんなに買うもの有るのかよ」
「金が有ったら悩まないよ。

まったく稼ぎが無いくせに」
母は父親を罵った。

優子にとって夫婦喧嘩は

毎日見る光景であり、
ここでは人目があって

義明は文子を殴ることは

無かったが、時々文子は顔に

あざをつくる事があった。

「お父親さん、お母さんお腹空いた」

優子はそう言って夫婦喧嘩を止めた。
「そうだな、ビールでも飲むか」
8階のデパートのレストランから

見える風景は眺めが良く、

久々の親子三人のお出かけは

優子にとって声を出して叫び

たいくらい楽しい事だった。

ハンバーグセットを食べ終えた優子に
「アイスクリームでも食うか」

父親は口悪く言った。
「うん」

運ばれてきたものは銀色に

光る器に半球が二つ、

黒いつぶつぶのある

バニラアイスのその隣に

ウエハースが添えてあり、

その器のもとに先の四角い

スプーンが乗って、
優子が生まれてはじめて

食べたバニラアイスは、

大好きな最中アイスより

数十倍冷たくて美味しかった。


「おいしい」そう言うと、

優子の頭を父親はなでた。
その手は大きくずしんと

重くてなぜか、安心できた。

優子は母に誕生日の

プレゼントにピンクの

トレーナーを選んでもらい
「これは俺からだ」


安室奈美恵の様に長い

ストレートの髪に花の

アクセサリーをつけてくれた。

それから一ヶ月後

父親と母は離婚した。
「お前はなんてだらしないんだ。

服は脱ぎっぱなし、掃除はしない」
夕方優子が図書館から帰ると

父親と母は喧嘩をしていた。


「昼間はパチンコ。それに

昨日はどこへ行ってたんだ。

朝帰りなんておかしいぞ」


「アルバイトしてたのよ。友達の店で」
「何時までやっている店だ。」
「お客と食事していたのよ。ファミレスで」
「ホテルじゃないのか」
「そこまで言うこと無いじゃない」
「それより久美子と

できてるでしょう。どうなのよ」


「相談を受けていただけだよ」
「だから、帰ってこないの」
「そうだよ」
「別れましょう。よりによって

優子のいとこの久美子となんて」

優子はいつもの事と

思いテレビをつけた。
母は優子の方へ来て
「優子。お母さんと

お父親さんとどっちがいい?」
引きつった顔で母は言った