地獄タクシー 八章 舞鬼 ⑰ | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

礼司は、自分がSSATの隊長になっている

世界のことを考えながら魔美に質問した。

「こっちの世界の三年前の夜野礼司が

能力が強くなった。関係あるか?」


「うん。パラレルワールドは

 かなり干渉しあっているの」

「もしかしたら、もう一人夜野礼司が

 いたということか?」


魔美が返事をしないでいると

「もしかして、お前のパパって」

「行こうか?」

話をさえぎるように魔美は言った

「ああ」


 二人は駐車場のタクシーに乗った

SSAT本部の壁から出ると


地下駐車場の出口へ来た。


目の前にはバーが下りていて

右側に料金清算機が有った

「おい、料金払うのか」

「そうみたいだね」


「いくらだ。通貨一緒か?」

「どうなんだろう。伊藤博文だったりして」

「一万円札は聖徳太子だったりして、あはは」

 礼司と魔美は財布を探した。

 すると料金所の男が走ってきた。

「夜野さんですね」

「ん、はい」


「料金は結構ですから。

 次からパスをお持ちください」

「おお、助かった」

「あはは」

 駐車場から車が出し、汐留のビル街をゆっくり回った。

「由美さんが手配したのね」

「そうだな、彼女気が利く」

「そうよ、私の……。うふふ」

「なんだ、気持ち悪いなあ」

「ところで、由美さんとはどこまで?」

「どこまでもいよぶ、部下だから」



「もったいない、夜野さんの事好きなのに」

「そうかな?」

「そうじゃなくちゃ、抱きついたりしないわよ」

「お前見ていたんか?」

「うん」

「さあ、行くぞ」

「はい」

 高架線を支える柱の間を抜けると、

 礼司がタクシーの運転手をしている世界に出て、

 ノブをはずすと真っ暗になり

 目の前にたくさんのライトを光らせた車が現れた。


 礼司が運転するタクシーは新橋から四ツ谷方面にり、

 二〇分もしないうちに赤坂迎賓館の前に着いた。

「今九時四〇分だから、あと二時間一五分だ

「それで、今回の武器は何を使うんだ?」

「ええと刀使おうか? 失敗できないからね」

「おお、いいなあ。刀か。ん? 今までは失敗していいんかい」

「あはは」


「ところで、刀はどこで」

「どこかで買わなくちゃ」

「売ってねえよ、もう夜の十時だ時だ。こんな時間に」

「そうか、どうしよう」

「とりあえず。二十四時間営業の

 ディスカウントショップってみる?」

「何かありそうか? まったくやっつけもいいところだよ」

「うふふ、今の夜野さんの力なんでも大丈夫かも」


「そうかな?その前にちょっと腹減った

 礼司は四ッ谷駅の前に車を停め、

 駅ビル内にあるカフェに入った。

「いらっしゃいませ」