地獄タクシー 八章 舞鬼 ⑬ | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「そのうち一番多く人数を投入したのは、

 警視庁と防衛省だろう」

「そうですね」

「一番火器が少ないのはテレビ局。

こちらが一番攻めにくいのが

核爆弾のあるところだ。

だから、そこは手薄なはずだ」

 

そう言うと、礼司はいったん考え込み、

何かを見切ったように話しだした。

「今、動いているテロリストは約一〇〇


やつらがどうやってこの国侵入

爆弾を持ち込み、


どこで指揮をとっているかだ


「なぜですか?そんな事どうでもいいのでは」

立ち上がり山野が強く言った

「山野やつらは、テレビで声明を出している

のにもかかわらず、未だに交渉をしてこない、

なぜだと思う?」


「そうですね、変です」山野は椅子に座った

「問題はやつらの目的だ」

「もちろん金の要求です」沢村が言うと

「金銭だったら何兆円要求してくるのかしら?」

 白尾は首をかしげた

「それは、難しいだろう。

そんな金額をたとえオフショアバンクに

振り込ませたとしても、

すぐにアメリカに凍結されてしまう」

浜田がゆっくり話をした


「別な目的も考えられる」

礼司はみんなの顔を見渡して言った

「別な目的というと?」和久井は驚いたように聞いた

「ただ、東京を破壊するだけならこれだけの

大掛かりな仕掛けは要らないはずだ」

「そうですね。だまってどこかで

核を爆発させればいい」

沢村は腕を組んで立ち上がった

「金銭の要求なら、支払い方法が難しい」


川島はパソコンでデータを呼び出した

「という事は・・・・。」和久井が言うと

「為替か株による利益だ」

礼司はすべてを見通したように言った

「あっ」白尾が上を向いた

「つまり、東京が今の状況なら

日本企業の株が暴落、円も暴落する」


「アメリカのテロの時も株が暴落しています」

川島がパソコンを見ながら言った

「そうだ、あの時はすぐに報復措置をしたから

取り戻せた」浜田が言った

「おそらく、市場が開いているロンドンで

はすでに暴落が始まっているだろう」


「はい、日本の株が売られています」

川島は確認しながら言った

「もしニューヨーク市場が開いたら?

世界は大変な事に」

「やつらはおそらくこれが目的だ、正に経済テロだ」

和久井は立ち上がった


「では、逆にやつらが猶予を出したのは、

世界中の市場が開くのを待っているという事?」

川島は首をかしげた

「そうだ、爆弾を爆発させずに

日本を吹き飛ばす事になる。

やつらは今までの日本なら

強硬な態度をとらず交渉すると

読んでいるはずだ」


「だから我々がテロを制圧すれば混乱を

間逃れるという事ですね。隊長」山野が言った