地獄タクシー 八章 舞鬼 ② | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

【四四五

 市ヶ谷駅に停車した車両から三〇人の男が降り、

 職員を全員射殺して防衛庁へ走った。

 五分後、三〇人の男たちは防衛庁正門より突入し、

 門に立っていた自衛官二名を射殺。

 そのまま右前方四〇メートル先にあるB棟に突入し、

 五階建てのB棟にいる自衛官三〇人全員を射殺した。

 五時まであとわずかという時、男たちは航空管制

 システム室へ入り、レーダーと通信設備を掌握し、

 一人が無線でその旨を伝えた。


【五〇〇

 無線を受けた一人が合図を送り、

 男たちが占拠したジャパンTVのAスタジオから

 覆面の男の一人が放送を開始した

 「我々は、警視庁、防衛庁、ジャパンTVを制圧し

 永田町に核爆弾を設置した。

 一般の人は早急に非難をしてください

 私たちは、日本国代表と交渉をいたします。

 二四時間以内に交渉に応じなかった場合、

 核爆弾を爆破させる。もしアメリカ及び第三国

 日本に対し協力に動いた場合でも、爆発させる


【五一〇分】

 ある部屋に人の男女が集まって

 モニターを凝視していた。

 そこは、まるで特撮映画に出てきそうな

 雰囲気のモニターとPC、

 無線機のある未来的な部屋だった


「あいつの言っていた通りだったな

 まさか、警視庁と防衛庁を攻撃してくるとは

 予想できなかった

 モニターを見詰めながら、和久井俊が言った。

「ええ、予想以上に大胆ですね

 和久井と同じようにモニターを見ながら、

 白尾がくもった表情で話し続けた。

「ピストルを撃たない警察、マシンガンを持たない

 自衛官の国ですからテロリストなら簡単な事です

 和久井は席を立ち、腕を組みながら歩き始めた。

 そして、五人に聞こえるように言った。


「今から、手はず通りテロ組織

 制圧しなければならない」

「それが隊長がまだ

 川島由美が力なく話した。

「ああ、とにかくあいつが書いた

 マニュアル通りに動いてくれ」

「はい」

「しかし、夜野は本当に戻ってくるのだろうか?」

「大丈夫です。必ず戻ってきます」

 と川島由美が言った。

「確証があるのか?」

「私には解ります」

 と白尾が言った。

「よし、私も信じるぞ。さあ夜野が帰ってくる、準備してくれ」

 五人の男女が立ち上がり、

「はい」と返事をして各配置についた。



 礼司が青山霊園に車を停めて寝ていた。

「こんばんは」

 魔美は窓を叩いた夜野はビックっと目をさまして魔美に言った。

「おお、仕事か? 夢を見ていたよ

「うん。今日は、いよいよ二月一八日よ。だから貸切ね」

何だ? 確かに二月一八日だけど、それがどうした?」

「大切な日なのよ」

「まっ、最近売り上げが上がっていないから助かるなあ。

 でどこまでだ?」



「ん~。汐留」

「なんか近いなあ。でも鬼が強いって事か

「うん、まあね」

 礼司は無線でタクシー会社に連絡を取った

「大丈夫だ。明日時までだぞ」

「はい」

 魔美はポケットから鬼のノブを取った

「今回はこれをつけてね」

「おお、久しぶりだな」

 礼司がノブを取り替えてキーを回すと

 キーンという音をたててエンジンがかかった。

行くぞ

「うん」



「魔美元気ないぞ」

「ああ、大丈夫。今度はちょっと難しいから」

 礼司が後ろを振り返るといつも通り誰も

 乗っていないタクシーがまっていた。

今日はどんな鬼だ?」

「今度は鬼はいないの相手はテロリスト」

「何? 今回はスペシャルか? 外人か? 人数は?」

全然、解らない

「それで、どこへ行くんだ」



「今、私たちがいる世界とは別の世界があってね」

「パラレルワールドか」

「うんこの世界と似ているんだけど微妙に違うの」

「例えば、日本が英語をしゃべっているとか

 俺が有名な科学者とか?」

「近い、すごく近い」

「あははさっきテロリストの夢見ていたよ

 すごくリアルな

「なんだ、知っているんだ」

「何?」


つづく