ホラー小説 地獄タクシー 一章 双鬼 ⑦ | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「魔美そっちはこするかも

知れないから俺のほうに寄れ」

「どうして、そっち走っているのに」

「今にわかる」

「7・6・5」

鬼は左側に飛んだ

「ほらやっぱり4・3・2」

車は思いっきりハンドルを左に切り

鬼を欄干の間に挟み100メートルほど引きずった。


「よし」

礼司はハンドルを右に切り10メートルほど前に出すと

「とどめだ」、礼司はギアをバックに入れ

いっぱいにアクセルを踏み込んだ

「ギャー」双鬼は悲鳴を上げた

すると体から血が飛び散った、

それは橋の上にいる地縛霊に付き鬼の血を浴びた

10の霊は次々に白く光り満月の空へゆっくりあがって行った。


「どうなった?」

「鬼の血を浴びた霊は成仏していくから、消えてなくなるの」

「おお、そう言う事になるわけね、11時58分。任務完了」

「急がないと、表の世界に戻るから走って」

「おお」

車を走り出して12時になると、

車の騒音と共に目の前に車が現れ

いつもの首都高に戻った。


「さあ、青山に帰ろう。これで5,000円か。安いなあ」

「大丈夫。いい事あるわよ」

「もういいよ。でも鬼ってどうして現れたんだ」

「うん、地縛霊が人間の血を吸った時、鬼になるの。

まあ色々な条件があるけどね」

「その鬼は何が目的なんだ?」


「人を殺して食うだけ。その霊はまた

地縛霊となって霊障を起こしていくの」

「やつらのメリットは?」

「鬼の本能だけじゃなっかしら」

「そうかな?、ところであんたは?」

「私は上の命令で動いているんだけど、

少なくとも今日は10人の女性が妊娠した事は間違いないわ」

「生まれ変わるわけか」


「ええ、とても強い子供が生まれるわ」

「つまり、無念の死で地縛霊になったやつの所で

また血を流したら、鬼が現れると言うわけなら、

首都高だけじゃないだろ」

「そうよ」


「あらら、じゃあがんばってな」

「何を言っているの、これからもやるのよ」

「やだね。俺はシューティンゲームは苦手なんだって」

「もう、手遅れ。あなたは鬼に狙われるから」

「なんで」

「鬼に顔を見られたでしょ」

「もう、あなたは鬼達の指名手配を受けているわ」

「そんな、なんで俺を選んだ」


「あなたには霊能力があるからよ。私の姿見えたでしょ」

「他の人は見えないのか」

「うん、それに色々な霊体験してるでしょ」

「あはは、それはそうだけど」

「おねがい。これからも手伝って」

「なんか、お前にそういわれると嫌と言えないなあ」

「ありがとう」


青山墓地に着いた礼司は、

駐車しているタクシーと合体した。

「またね、おつりはいいわ」

魔美は1万円を渡した。

「おお、ありがとう」

礼司は取り外したシフトノブを魔美に渡した。


その時、タクシー無線が入った

「東京4356、現在位置は」

「青山です」

「指名です、中野の全然寺へ向ってください」

「了解。これかいい事って」

礼司は魔美の方を向いた

「そうよ、ふふふ」

それから、夜野礼司はあちこちのお寺から通夜、

葬式に指名を受けるようになった。

付いたあだ名が

「地獄タクシー 夜野礼司」


一章 双鬼 終