「うん」
礼司がはもっとアクセルを踏むと
車はキーンと音を立てた
礼司が双鬼の姿を目認すると
ライトをアップにし真っ赤な
レーザーピームを放った
それが双鬼に当たった瞬間、
真っ赤な炎を上げ消滅した
「早い!!」
「乗りだよ、乗り。あはは」
「ところで、今日の鬼は?」
「武鬼、京都で死んだ武士達の
霊が鬼になったの」
「墓でも動かしたのか?」
「うん、旧家を取り壊してマンションを
建てようとしたら大量の人骨が出たんだって」
「ああ知っている。それで」
「それがね、古い人骨で業者がちゃんと
弔わなくてゴミみたいに処理したらしいわ」
「それで、どんな事件が?」
「工事現場の従業員6人が首を切られて死んだわ」
「おお、可愛そうに・・。つぎ狙われるのは?」
「たぶん・・・・・」
「そうか、それで鬼の居る場所は?」
「ええと、本能寺」
「おお、織田信長。本能寺の変のあったところか」
「うん」
「織田信長が鬼になっていたりしてな。あはは」
「うんそうかもね。でも鬼はかなり強いよ」
「それで、武器は?」
「その金束じゃ力が足らないから、刀を使うわ」
「刀だけで勝てるのか」
「だから、いい刀じゃないと」
「ああ、京都ならいい刀があるな」
「うん、京都国立博物館」
「な、なに?盗むのか?」
「違うわよ、借りるのよ」
「そうか、借りるのか。まさか国宝だったりして」
「そうよ、国宝のね。ええと」
魔美は持っていた紙を見た
「太刀 銘則国。鎌倉時代の物で作者は則国」
「おい、おい。じゃあ向うに着いたらまず刀を盗むことか」
「うん、場所は京都駅の近く」
「OK」
礼司の運転するタクシーは
京都駅に22時50分に着いた
「魔美鬼退治の時間に間に合ったな」
「うん」
「お客さん着きましたよ」
礼司は自慢げに声をかけた
「ん、今何時ですか?」
「11時ちょっと前です」
「えっ。えええ?本当に着いたんですか?」
男は不思議な顔で時計を見た
「よ、よかった間に合う。ちょっと待って
いてください人を連れてきますから」
「いいですけど、金額が金額なので・・・」
礼司は疑った目で男を見た
「ああ、そうか。私、佐々と申します。
待っていてくださいね」
「は、はい。お待ちの方は2号車です」
「えっ?」
佐々は20万円と名刺を礼司に渡して車を降りた。
「なあ、魔美」
「はい?」
「今気がついたんだけど・・・・。
メーターが5360円だ」
「あはは、鬼の世界はメーターが動かないから」
「じゃあ、もらい過ぎかな? 会社になんて言おう」
「ねえ、夜野さんってどうしてこういう時は弱気なの?」
「あはは、サラリーマンが長かったから」
名刺を見ながら魔美は
「あら、あの人大学の準教授よ」
「ん?」
「佐々 宗則 東
文学部民族考古学だって」
「ほう」
「ところで、彼は20万円も払って
タクシーで京都に来たのかしら」
「うん、人を追ってきたみたいだ」
「鬼退治の時間過ぎちゃうよ」
「大丈夫だろう12時までに
鬼を退治すればいいから」
「そうね、今度は強力な武器があるから」
「ああ」
つづく