地獄タクシーⅡ 三章 煙鬼⑦ | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「あのバカ女!!気付けよ」

礼司はやっとの思いで横に並びダーツの矢を倒れこみながら女性のタバコに向けて投げた

「きゃー危ない」ナイルを連れた魔美が悲鳴をあげた

タバコに刺さった矢は3メートルほど飛んで植え込みの樹に刺さった

その瞬間女性の上に有った煙の塊りが消えていった

女性は自分の手の中からタバコが消えて唖然としていた

そこへ礼司が近づいて

「大丈夫か?」

「何すんのよ、危ないじゃない」何も知らない女性は大声で怒鳴った

「すみません」

礼司は頭を下げた

「魔美、これじゃ同じ条件の人間が多すぎるぞ」

「うん、困ったね」

「夜野さん」浜田が真理子と走ってきた

「ん?」

「とりあえず、商店街パトロールの人たちが歩行禁煙で回ってくれるそうです」

「ありがとう、浜田」

「すごい!!そんなの考えていなかった」

魔美が浜田の手を握って飛び上がった

「後は小島をさがすだけだ」

「はい」真理子がビニール袋に入っているタオルを礼司に渡した

「ん?」

「小島の使っていたタオル、ナイルに探してもらおうね」

「おお、そうか」礼司は真理子の手を握って飛び上がった

それを見た魔美が「馬鹿じゃないの」とつぶやいた

「ナイルちゃん探せるのかしら」

「探せますよ、鼻がいいから。ね 夜野さん」

魔美の口調がとてもきつかった。

「じゃあナイルこの臭いを探せ」礼司が言うと

ナイルはタオルに鼻をつけその後鼻を空に向けた

「何やっているの?」

「近くにいるみたいだ、空気に流れているにおいを嗅いでいる」

「本当?」

「魔美リードを長くして行こう」

「うん」

ナイルはデパートの本店の脇を抜け

円山町の坂を上り始めた

「ここって、この前も来たね」

「ああ、クリスマスの時だったな。

この辺りは霊がいっぱいあるから事件が起きてもしょうがないかもな」

「そうなの?」

「解かるんですか?」

「うん、かわいそうな女の霊が何人かいるな」

「そうか・・・・。」

ナイルは坂を登って左に曲がって最初の角にあるラブホテルの前で

止まった

「おいナイル、この中か?」

ナイルは尻尾を振った

「どうもそうみたいだね」

「出るのを待つか、そろそろ10時だし」

「ええ、そうしましょう」

「でもなんか変ですね、ラブホテルの前で男女4人と犬で立っているなんて」

「あはは、確かに変だしかも一人は女子高生だし」

その時ナイルが激しく吠えた

「来たぞ!」

つづく