地獄タクシーⅡ 三章 煙鬼③ | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

礼司は階段をおりて地下道の入り口に立っている女性に

声をかけた。その女性は20代半ばで必死の形相で交差点を

渡ってくる人たちを見ていた

「すみません」礼司は声をかけた

女性は無言で目を動かしていた

信号が赤になり車が何台も通り抜けると

「すみません、息子さんの事で」礼司が話すと

女性は礼司の顔を見た

「息子さんここで亡くなったんですね」

「はい」女性は目に涙を浮かべていた

「息子さんどうして?」

「喘息の発作です」

「そうですか、今何を?」

「息子を殺した犯人を捜しているんです」

「えっ?発作じゃ」

「息子が発作を起こしたのはタバコの煙なんです、この混雑した所を

歩きながら吸っていた男を捜しているんです」

「あっ、ちょっと待っていてください」

礼司は2階へ駆け上がり

「浜田ちょっと下へ降りてくれ」

「は、はい」

三人が下へ降りると

「お母さん、犯人の男の顔を覚えているんですか?」

「はい、間違いなく」母親は鋭い目で答えた

「解かりました」

「浜田死んだ5人の写真を」

「はい」

礼司が写真を手に持って母親に見せた

「この中に犯人の男がいますか?」

母親は写真を見みて

「ここにはいません」

「ねね、じゃあまた母親の生霊が鬼を呼び起こしたの?」

「わからん」

「おかあさん、犯人をどんな特徴で捜しているんですか?」

「服装とタバコ吸っているかどうかです」

「そ、そんな」あまりのレベルの低さに浜田が驚いた

「お母さんゆっくり話をしましょう」

浜田と礼司たちは駅前の交番に母親を連れて行った

「浜田、できるだけるの事をしよう、煙鬼を退治できる手がかりがあるかも知れない」

「はい、似顔絵をかける者を呼びます」

「ありがとう、あっそれとこれを取り寄せてくれ」礼司はメモを渡した

「ええ、二硫化炭素とアンモニアですか?」

「ああ、二硫化炭素は手に入れにくいが何とか頼む」

「はい、同級生に製薬会社の研究所に勤めているのいます」

「頼むよ、俺一応毒物劇物取扱責任者の免許持っているから大丈夫だよ

「はい」

「じゃあ今度こそ武器買ってくるから」

「では、母親に事情を聞いておきます」

「うん、助かるよ」

礼司と魔美はハンズへ向かった

「何を買うの?」

「相手がガス人間だからジッポーとオイル」

「刀にオイルをつけて煙鬼を切るの?」

「ありゃばれた?」

「そんな詰まんない、ネタに詰まったりして」

「げげ、ばれたか。ちょっとまて何か考えるから」

二人がハンズへ歩いていく途中突然左の小さな店に入った

「夜野さんどこに入るの?そこ香水屋さんよ」

「ああ、知っている」

「もう、女の子ばかりだよ」

「それも知っている」

礼司はフレグランスのサンプルの臭いを嗅いでいた

「どうしたの急に」

「ああ、そろそろ加齢臭がきになったりして」

「本当だ。匂うかも」

「やめてくれよ、気になる」

「魔美、メンズの香水もあるのか」

「もちろん、渋谷の若者の100%近くがつけているよ」

「おい、そんなにか?」

「うん」

礼司はブルガリアのオーデコロンのサンプルを嗅ぐと

「おお、この臭い」

「いいでしょ、今流行っているのよアクア」

「今日俺ともめた男の臭いだ」

「いい香りでしょ」

「いや、プンプン臭くて、この真丸のボトル見覚えがあるぞ」

「ええっ?」

「ほらさっきの死んだ男達が持っていたやつだ」

「ほんとう?」

カバンから書類を見ると

「本当だ、二人が持っている」

「ひょっとして、5人ともつけていたとしたら」

「煙鬼はこの臭いの男を狙っていたかもしれないな」

「うん」

「お母さんに聞いてみよう」

礼司はオーデコロンを買って交番に向かった


つづく