3人が渋谷駅前の交差点に立つと礼司が回りを見渡した
「向かいの薬局の前で若い女性が死んでる
そのビルの前で中年の男おお、その隣のビルの上にもいるな」
そして礼司が突然黙って涙を流した
「どうしたの夜野さん」魔美が心配そうに聞いた
「うん、大きなモニターのあるビルの前で3日前に男の子がそこで死んだ、息ができなくて苦しそうだった」
「かわいそう・・・。」
「うん、さあ行こうか。浜田・・・さん」
「夜野さん、浜田でいいですよ」
「うん、ありがとう。あはは」
三人はセンター街に入りすぐの電気店の前で浜田が止まった
「ここで一人目の男が死んでいます」
「うん、二人目がその先の靴屋の前、三人目と四人目がハンバーガー屋の前か」
「わ、解かるんですか」
「うん、五人目は?」
センター街の出口のデパート見えるところで浜田が「ここが5人目の男が死んだ所です」
「うんそうか、場所が移動しているな」
「はい」
「浜田死んだ男たちの資料は無いか?」
「今は持っていませんけど」
「すぐにそれを見せてくれ」
「はい、部下に持ってこさせます」
「頼む」
「はい」
「俺達はこれから武器を買ってくる」
「ぶ、武器ですか?」
「うん、お買い物。うふふ」
浜田は首をかしげながら駅のほうへ歩いて行った
「武器は何にするの?」
「その前に本屋へ行くわ」
「うん」
礼司はセンター街に戻ろうとしていた
「こっちに大きな本屋さんがあるよ」
「いや古本の方」
「あはは、まんだらけね」
「あそこでネタ探そう」
「ハイハイ、でもフィギュアが見たいんでしょ」
「まあな、そろそろ鬼退治の時のコスチュームが欲しくなってきた」
「あはは、どうして?誰も見てくれないよ」
「いや、服が汚れるし、お尻は破れるし・・・洗濯が大変なんだよ」
「なるほど、じゃあスエットでいいじゃない」
「わかったよ」礼司はふてくされていた
本棚を見ていた礼司が突然走り出した。
「魔美、行くぞ」
「どこへ」
二人は駅のほうに向かって走り出した
「夜野さん、どこへ行くの?」
「映画」
「な、なんなの?」
「ガス人間一号」
TUTAYAに入った二人はガス人間一号のビデオのパッケージを見た
「最後はどうなるんだっけ」
「ああ、閉じ込めて火をつけて爆発させるの」
「ええ、何で知っているんだ」
「パパがマニアで美女と液体人間とか伝送人間を観ていた」
「参ったなあ」
「でも閉じ込めるのは難しそうだなあ」
「うん」
そこに浜田から電話があった
「夜野さん今どこですか?」
「TUTAYAにいるよ」
「じゃあそこの2階の喫茶店で」
「おお」
「五人の資料持ってきましたよ。はい、これが死んだ男の経歴です」
「うん」そう言って礼司はリストを受け取った
「共通点は?」
「ないですね」
「そうね、年齢が20代。職業も学生とフリーター」
「魔美他に感じないか?」
「まさか不良じゃないよね」
「うん、渋谷は歩行禁煙少なくともそのルールを守っていないな」
「そうか、確かに駅前の喫煙所でタバコを吸っている人たちが死んでもおかしくないですよね」
「死んだ男たちの服装は」
「スーツだったり、Gパンだったり」
「小物は?」
「時計は違うし」
「ブレスも違う」
「何も無いよ」
「そうだな」
「共通なのは同じタバコを持っていますね」
「うん、マルボーロ・ライト・メンソール・ボックス」
「メンソールか男には悪いな」
「やっぱり駄目なんですか?あれ」
「なにそれ、男に悪いタバコあるの?」
「いや何でも無い、あはは」
魔美は横目で礼司を見た
「何か何か共通の部分があるんだよ、頭にひっかかる物が」
礼司が下を見ると一人の女性が礼司の目に止まった
「彼女だ」
「なんですか」
「さっき死んだ少年の母親だ」
「解かるんですか?」
「うん」
「浜田さんさっきからそればかりね」
「俺ちょっと声をかけてくるわ、待っていてくれ」
「ええ?」
つづく