獣医鷹子 41 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

「でも大手暴力団のプランまで

やる仁を殺しに来るなんて」

「ブラックプランナーの九鬼と御神仁が

同一人物だとは知っているやつはいない」

「もし知っていたら?」

「ユウが狙われていたかも知れないな」

「そうか、そしたら完全に殺されていたわ」

「ユウ、気がついたんだけど、

もしお前が居なくなったら、

俺は何も出来なくなってしまう。何もな」



「今頃分かった?」

「ああ、分かった」

ユウは目に涙をためて

「胸に傷が出来ちゃったけど、抱いてくれる?」

「ああ」

「ぎゅーって、してくれる?」

「ああ、アバラが折れるくらいな」

「あはは」



「退院したら、鷹子のおじさんの墓へ報告だ」

「ねえ、どうして鷹子さんの

お父様のお墓参りに行くの?」

「そうか。話していなかったな。

実は鷹子のお父さんは俺の代わりに死んだ」

「うん」



「小さな頃、おやじが死んで弟の

おじさんが父親の代わりに、

色々な事で面倒見てくれた、

鷹子の兄貴の様にいつも平等で、

でも悪い事をすれば殴られた」

「そうか、それで鷹子さんと仲がいいんだ」

「でも、俺が高校2年、鷹子が小学校6年の時に」

北穂高岳なだらかな岩場

「おじさん、晴れて来たね」

「ああ、これで下山できる、一気にいくぞ」

「はい」

テントを片付けリュックを背負うと

「ああ、人がいる」

「えっどこに?」

「助けるぞ」

「はい」

「仁、俺にもしもの事が

あったら鷹子たち頼むぞ」

「はい?」

「いや、なんでもない」

2人は登山道から右にはずれ1時間くらい

歩くと男2人女2人の4人のパーティを見つけた。

「おーい」

「おーい大丈夫か?」

「救助隊の人ですか」

「いや、今日で何日目ですか。」

「昨日下山の予定だったんですが」

「昨日の悪天候と1人が体調を崩して」



女性が1人テントで寝ていた。

「ここから1時間くらいで穂高岳山荘に着く、

そこで救助隊を呼ぼう」

「はい、ここはどこですか」

「ずいぶん登山道を外れていますが、

大丈夫ですよ。他の人の体力は?」

「ちょっと腹が減っています」

「あはは、食料はありますよ」



「ありがとうございます」

病気の女性を交代で背負う事になり、6人は出発した。

歩き出して1時間すると空が曇りだした。

「すみません。藤木さん方向は大丈夫ですか?」

「大丈夫です。私は間違いません。

動物達が教えてくれるから」

「はい?」

「おじさん僕が背負います」仁が言った

「仁大丈夫か?」

「はい」

しばらくすると左側に崖

があり狭い道があった。

「気をつけろよ」

「はい」

その時、仁が足を踏み外して宙吊になった

「仁絶対離すなよ」

「はい」

「みんなそのまま踏ん張ってくれ」



先頭にいた藤木はロープをはずし

女性を抱え登山道に戻した。

「すみません、おじさん」

「しょうがない、あの2人の男性の

体力じゃ彼女を背負えなかったから」


つづく