しばらくすると、
目隠しと猿ぐつわをされた
鷹子は廃工場の中に連れこまれ
何も無い部屋に手足を
縛られて椅子に座らされた。
「姉さん、どうしてここに
連れてこられたかわかっているな」
「はい、千石グランドマンションの件でしょ」
「じゃあ、簡単だ。
他人のことに口を挟まないことだね」
「そうですね。すみません。
じゃあ私返してもらえますね」
「いや、この程度じゃ約束にならねえ。
このまま返して警察に
かけこまれたらたまらねえからな」
「じゃあどうすれば」
「ちょっと痛い目に合ってもらおうかな」
「いやよ」
男の1人が携帯を受けた
「ちょっと待っていてもらおうかな」
男達は、部屋から出て行った。
「なるほど、暴力を振るわないにしても
ここに監禁されるだけでも怖いわね。
どうしようかな」
鷹子は目をつぶり心を落ち着けた。
「ゴン助けて」
目の前に散歩する女性の視線が浮かんだ
「あ、私の事を知っている
猫がそばにいるみたい、お出かけか」
籠に入ったさび猫が騒ぎだした
「キョンどうしたの?」飼い主が言った。
「あ、キョンか。じゃあ月島だ」
「ごえもん、私捕まっちゃった」
するとごえもんの声が聞こえた「どこ?」
「月島の廃工場。近くに親戚いる?」
「いるよ」
「さすがゴン、子孫が多いね。
ごえもん親戚の猫ちゃんたちに
私の事を探させて」
「はい」
しばらくすると、
二階の窓から中を覗き込む猫がいた
「見つけたよ。どうする?」
ごえもんの声が聞こえた
「みんな、集めて。とにかく目立つように」
「うん」
御神は携帯で鷹子にメールを送った。
「だめだ、メールの受信許可が来ない
許可のボタンを押してくればなあ」
「おばさん。鷹子が誘拐された」
心配そうに御神が電話をした。
「えっ?鷹子が」
「それで、どうやって
探そうかと思って」
「あそう。そういえば、
昔ゴンが鷹子を見つけ出した事があるよ」
里佳子は元気に返事をした。
「そうか、鷹子の能力か、
ありがとうおばさん。
でもあまり心配していないようだけど」
「うん、鷹子は絶対大丈夫だからお願いね」
「ユウ、東京駅の近辺で猫が
いっぱい集まっている所探して」
「猫がいっぱい?」
「そうだ」
「OK、みんな猫がいっぱい
集まっている所探して」
ユウは皆に呼びかけた。
しばらくすると、
亜子から御神に電話があった。
「あっ、御神さん。
今度父に会っていただけますか」
「ああ、いいですよ。
稲元とのいきさつも聞きたいし」
「では来週の月曜日に」
「はい」
「きゃー、凄い猫」
「どうしたんですか?」
工場の前に猫がたくさん」
「ええ、それどこですか」
「タクシーで銀座に向っている途中だから
ええと、月島2丁目」
「ありがとう。では」
「はい、工場の前です」
「はい、ありがとう」
「ユウ、月島2丁目の廃工場だ!」
「了解」
しばらくすると麗菜から、連絡が有った。
「月島の廃工場の前に20匹くらい
猫がいますけど。ここかしら」
工場の前には猫が群がって
入り口をカリカリしていた。
「OK、ありがとうそこに待機していて」
「了解」
「仁の言う通り、
月島に猫が20匹いる所があるよ」
「そこに鷹子が監禁されてる」
「今GPSマップ送る、私も向かうから」
「了解」
つづく