獣医鷹子 1 | 渡夢太郎家の猫

渡夢太郎家の猫

2008年 3月に蘭丸の2度目の子供ができました
これで、我が家は9匹の猫です

   獣医 鷹子


プロローグ

真っ白な煙の中に太った白と黒の

猫が座ってこっちを見ている。

大きな目を開いて、

優しく舌で顔をなめた。

「鷹子ちゃん、獣医師試験合格

おめでとう。今日でお別れだ」

「誰?」

「ゴンだよ」

「どこへ行くの?」

「遠い所」


「えっ、どうして?いやだよ!

ずっと一緒だったじゃない」

「ありがとう。かわいがってくれて」

「ゴン、戻ってきて」

「鷹子ちゃん。これからも

守ってあげるからね」

「ゴン」

鷹子は目を覚ました。

ゴンがいなくなって、


1ヶ月間鷹子は毎日いたる

所を探し回った

毎朝、毎晩捜し歩いても

見つからなかった。

「やっぱりだめかな」

「もう年だからね」


20歳か、私が8つの時だから」

「そう、さびしいね」

「うん、こないだ健康診断

したときは異常なしだったのに」

鷹子は涙を浮かべていた。

すると。鷹子の急に回りに

話し声が聞こえ始めた。


商店街を散歩する、ミニチュアプードルが

かわいらしい女の子の声で

「まったく、昼間に散歩なんて

信じられない足が熱いわ。

わがままなんだから」

鷹子は笑った。

「その通りね。飼い主も考えて欲しいわ」

「鷹子何言っているの、誰と話しているの」

「ごめん、独り言」

鷹子はその日から動物と話せるようになった。

2年後

大手自動車メーカーN社の会議室で

4人の男女がCMのプレゼンをしていた。

プレゼンが終わると、

御神仁が数人と握手をした。

「さすが御神さんこれなら、

新車の売上も伸びますよ」

「ありがとうございます」

御神は小池かおりと大原りりかと

大橋年男に合図を送った。

4人は洋風の落ち着いた居酒屋

喋々で打ち上げをした。

「お疲れさま、かおりちゃん、

りりかちゃん初めての仕事どうでした」

御神は言った

「ありがとうございました。

良い勉強になりました。」

「私も」

 

そこへ黒いレザーのミニスカートと

黒いブーツ履いた美女が御神の

テーブルを横切った。

「俺、用事ができた、

大橋君支払いはいいから

好きなだけ飲んで」

御神は立ち上がった。


「御神さん、

行っちゃった。ホントに」

「大橋さん飲んでください」

りりかがビールを注いだ

「うん」

「ところで、御神さんって

何が凄いんですか?」

「もちろん企画力が凄いんだけどね。

マーケティングリサーチはもっと凄い」


「へえ」

「一晩で1000人の情報を集めたり、

ペットの情報を集めたり、イベントには


3000人の人を集める事が出来るんだ。」

「すごい」

「ところで、私達の前任者の方は」

「2人とも独立してね」

「次は僕だよ」

「決まっているんですか?」


「まあね。御神ルームが出来てもう5人が

独立しているんだ。それも御神さんの援助で」

「わあ、素敵」

「すごいだろう、御神さんは

才能ある人は独立しろって」

「でも、御神さんは

独立しないんですか」


「いや、あの人は特別で、

電光社が離さないんだ。

年収は数億円だそうだよ」

「すごーい」

「ねっね、彼独身。いくつ」

33歳、でもあの収入、ルックスだ。

独身だけどいっぱい女性は居るよ」


「そうよね」

「でも、御神ルームに来ると言う事は

君達、社内トップという事か」

「ええ、そうなの」

「秘書課より美人が来るんだ。

御神ルームは」

「そうかしら、御神さん今までの人、

手をつけちゃったの」


「つけられたら、教えてくれ」

「バカ」


仁は奥のテーブルに座った。美女の前に立った

「座って良いですか」

「どうぞ」

「少し派手だぞ、ユウ」

「仕事よ」

「わかった」

「だから、そんな格好すると目立つぞ」


「そう、私、峰不二子になりたいんだけど、ルパン」

「バカ、それで依頼は」

「依頼主は警察庁警備部」

「また、ミスったのか」

「そうみたい、中東の王女様が行方不明だって」

「どれくらい前」

「2時間前」

「早いな、今回は」


2人は立ち上がると、大橋達の脇を通って

「お先に」御神はりりかとかおりに袋を渡した。

「最低」かおりが言った。

袋を開けると指輪が入っていた。

「わー素敵、最高」

「御神さんていつもそうなの」

「うん、僕はスーツもらった」


「ところで、御神さんって

女性の扱いが外人みたい」

「そう、アメリカの広告代理店に

勤めていたんだよ」

つづく