モンブラン完走記 ⑦
コースアウトして、暗闇の中で大を。
すっきりした。
走り出す準備をして、コースに戻ろうとした。すると、
『先生』と後ろから声がかかった。
よく見ると御門だった。
『何で分かった』と聞くと、
『すぐ分かりましたよ。オーラが違いますから』
『そうか。すまん、お前の予備のライトを貸してくれ』
『どうしました?』
『ライトの火が消えそうなんや』
『わかりました』と言って、コースを離れて待ってくれた。
すぐによっていき、貸して貰った。
これでかなり気が楽になった。ライトなしでは走れない。
リタイヤするしかない状態になるのだ。
『すまん。ありがとう』と言って、御門が先行した。
ライトを付け替えて、私も走り出した。
雨が強くなり、エイドでまた御門と一緒になった。
そこのエイドは、たき火もしてあったので少し、
身体を温めた。そこからは、御門と一緒に走る事になった。
山に上がり周囲を見ると白くなり出し、雪が積もっていた。
寒くなってきたはずだ。
そこを進むと、今度はぬかるみになってきてシューズは
ドロドロ状態になった。
夜中は、どこをどう進んでいるのかも分からない。
ただ、コースを間違わないように慎重に走った。
かなり危険なところもあったが、大きな転倒もなく走れた。
陽が上がってきて、コースも見やすくなり気分も良くなった。
綺麗な山小屋では、写真も撮ることが出来た。
その後、急なくだりを下り始めた。
そこで、思いもよらぬ出来事が起きた。
それは、ストックを使って一歩一歩慎重に下りていると
いきなり、上から人間が降ってきたのだ。
訳も分からず、吹き飛ばされ下に落ちていきながら
『まずい、ケガしてリタイヤやな』と頭をよぎった。
そして、偶然にも大木や岩に当たることなく小枝で
救われた。飛ばされたところには小枝しかなく
ザザーと身体を受け止めてくれた。それでも、
身体には痛みがあり、一時動けなかった。
上から、声が飛んできた。
『アイム ソーリー、アイム ソーリー 』と私の身体に当たってきた
外国人ランナーが平謝りだった。
私も下から答えていた。
『OK OK アユー OKー』
そんなやりとりをした。そして、別のランナーが
ストックを投げてくれた。
『良かった。まだ、走れそうだ』と思った。
少し休んだ後、また、ゆっくり下って行った。