私の通勤路は近所の中学校の通学路と重なっている。
そう、私は毎日、大勢の女子中学生の群れに翻弄されながら通勤しているのだ。
もちろん男子中学生も半数近くいる筈なのだが、私の純真な目には彼らの姿は写らない。
ごく稀に、女子高生の自転車がその群れを撹乱し、私を轢いたりもする。
ただ、最近は私も年のせいか用心深くなり、ちょっとやそっとで轢かれなくなったのは良いことである。
さて、そんなことはどうでも良い。
その中学校の校門に、尊大にそそり立つ時計台がある。
この時計台、阿修羅かダダかパンドンのように両面に文字盤があるのだが、恐ろしいことに…

北西側の針が永久に
1時15分のままなのだ!
朝も昼も夜も深夜も、3時でも8時でも23時38分でも、常に1時15分なのである!
1時15分が午前なのか午後なのかは愚かな私にはわからない。
いや、わからなくて当然だ。
だって、この時計台のこっち側は時が止まっているのだから。
ちなみに南東側の文字盤は正確に時を刻んでいる。
朝は朝、昼は昼、夜は夜だし深夜は深夜。
3時には3時を指し、8時には8時を指し、23時38分だって間違えないのだからすごい!
よく考えてほしい。
一つの時計台の北西と南東で時の流れが違うということはどういうことか?
そう、磁場が、時空が歪んでいるのだ。
乱れているのだ。
時空の乱れは心の乱れ!
…一日も早く時の流れの歪を直してほしい。
そうすることで、私はまた女子高生の自転車に轢かれることができるのだ。
がんばってくれ、時計屋さん!
あと一つ、お願いがあるとしたら…
私が私じゃなくなったら止めてくださいね♪
じゃまた!
(いえ、まだ大丈夫です、たぶん。)