昨年、愛車のポルシェにリコールがあり、SUZUKIのディーラーに行った。
帰り際にリコールのお詫びに花をもらった。
小さな小さなナデシコだった。
100均で買った植木鉢に植え替えて水やってたら大きくなり花もいっぱい咲いた。
やがて冬を越え春が来てもナデシコは枯れなかった。
偉いな、ナデシコ。
敬意を込めて君を『ナデナデ』と命名しよう。
さて、ナデナデはゴールデンウイークの間、ベランダに一人ぼっちで残されていた。
5日間にわたり、一滴の水も与えられずに放置だ。
旅から帰った私を、枯れ果てたナデナデが迎えるのではないかと危惧していたが…

元気だった。

しかも日に日に花が増えた。
植木鉢も一回り大きいのに買い替えた(100均で)!

逆に大丈夫かと思うくらい元気だ。
すごいぞ、ナデナデ!
6月を迎えたある日、あれほど咲き誇ってた花が枯れ、何だかみすぼらしくなってきた。
咲いた花が枯れるのは仕方ないとして、葉っぱがどんどんやせ細っているのだ。
私がやせるならともかく、葉っぱがやせるなんてことがあるのだろうか?
ある夜、ナデナデを観察していて気がついた。
虫がたくさんついている!
虫だ!蟲だ!
無数のイモムシがナデナデに?!
調べてみたところ、『夜盗虫』という蛾の幼虫であった。
昼間は地中に潜み、暗くなると現れて緑色のものを根こそぎ食べるという、
健康的なのか不健康なのかわからん曲者だそうな。
夜に盗むから夜盗虫
…という、捻りも情緒もこれっぽっちもないネーミングの実に可愛げの無い奴なのだ。
画像など載せるとうっかり見て死人など出ると責任をとれない。
代わりに私がイメージ画を描いてみよう。

…まあ、こんな感じだ。
より正確な姿や性質についてはめいめい自己責任で検索などしてくれたまえ。
とにかく食欲旺盛な虫らしく、緑がなくなったらコンクリートの隙間の苔まで食べつくすらしい。
我が家に存在する唯一の緑がナデナデなので、そんな奴に襲われてはひとたまりもない。
取り急ぎ、ピンセットで片っ端からつまんで放り投げ(団地の下の階の皆様、すまん!)!
さらに薄めたお酢をファブリーズの空容器で噴射するという日々が続いた。
夜盗虫との死闘は2週間ほど続いただろうか?
ある夜を境に、虫は全く姿を見せなくなった。
後に残ったのは茎と茶色くなって枯れた花の残骸だけのナデナデだった。
そう、夜盗虫の完全駆除と時を同じくして葉っぱも完全に喰われてしまった。
しかし本体が枯れ果てたわけではない。
ゆっくり時間をかけて、6本100円の植物栄養剤投入、そして二日に一度の水やりを繰り返した。
いつの日か、1枚、また1枚新しい葉っぱが姿を現した。
あとは若々しい葉緑素と夏の陽射しのパワーに期待だ。
そして、ナデナデ…

復活!

この日から一気に次から次へと花は咲き、鳥は唄い、乙女は踊った。
今も灼熱の陽射しの中、いくつかの花が咲いている。
ナデナデよ、私もたとえ身体中の毛を抜かれても身体中を蟲に這い回られても強く生きていく。
ナデナデよ、いつか君が本当に力尽きるとき、私も安らかに眠るのだ。
(おいおい)
そして再び夜盗虫が出ぬよう、私は今夜も夜中に懐中電灯をもって植木鉢のパトロール。
じゃまた。