今を去ること約24時間前、簡単に言うと昨日の朝1時、アパートにけたたましいベルの音が響き渡った。
火災報知機だった。
寝ようとしてたところだったが、焼け死んでも困るので様子を見に外へ出てみた。
目覚し時計100台一斉に鳴らしたような巨大な音の中をあちこち見て回ったが、火も煙もどこにも無かった。
誤作動らしかったが、とにかくやかましくて仕方ない。
とりあえず、管理会社の非常用連絡先に電話して「何とかしてくれ」と頼んだ。
しかし、音は鳴りやまない。
いつまでもこの世の終わりを告げるようなベルが鳴り続けている。
30分、40分と過ぎても鳴りやむ気配は無い。
2時になった。
明日もあるので頭から布団をかぶって寝るつもりで腹をくくったが、最後にもう一度アパートのあちこちを見て回ろうと、ドアを開けた。
廊下は警察官と消防士でいっぱいだった。
私はいくつかの質問をされ、普通に答えた。
訊けば、火災報知機で駆けつけたのではなく、隣の家からの119番通報でやってきたそうだ。
火の気は見当たらず、誰かが火災報知機をいたずらか間違いで押したらしいということだった。
それ以上の騒ぎにはならず、私は部屋に戻り布団に入った。
しかし、火災報知器ってば鳴ると消防署に自動的に通報されるのだとばかり思っていたが、あらためて通報しないといけないとは知らなかった。
火災報知機を誰が押したかはわからないままだが、今思えば、のこのこ出てきてうろうろしていた私は、さぞ怪しかったに違いない。
なるほど、婦警さんから色々と質問されたわけだ。
火事じゃなかったことも、逮捕されなかったことも、婦警さんが目が覚めるほどの美人だったことも幸いだが、今日は一日眠くて仕方なかった。
報知機を押した『犯人』に貴重な眠りの時間を奪われてしまった上に、美人婦警さんの顔がまぶたに浮かんでろくに眠れなかったせいだ。
…以上の、長ったらしい事件詳細を簡単にまとめると次のようになる。
「俺ぁ、夢盗まれたからな…」

↑盗んだやつ(翌朝の呑気な姿)
「取り返しに行かにゃあ…」

↑ある意味夢を盗んだ共犯者で、ある意味夢を取り返してくれた人(再現図)
…ああ、この婦警さんにもう一度逢いたいと思ったら、あの火災報知機を押せばいいのだろうか…
…八百屋お七かっ!
…しませんよそんなこと!
じゃまた!