残業仕事も一段落して帰路につこうという時に、何だか見覚えの有るような無いような、とにかく偉そうな人が現れる。
誰だっけ?
・・・会社の超上層部とはめったに触れ合わないものだから、知らないこともあり得る。
万一失礼があるとまずいので、適当に挨拶してやり過ごそうとしたら…その偉そうな人が話しかけてきた。
「君のところのひろし君とさやかちゃんは元気か?何年生になった?」
…見覚えこそ無いが、うちの子供たちの名前をしっかり言い当てるのだから、総務の偉い人か?
などと考えながら適当に愛想笑いしつつ答えた。
次に彼は言った。
「ところで、君はうちの子供たちの名前を知っているかね?」
…本人すら見覚えないのに、子供なんざ知ってるわけがない。
え、いやその…と口ごもったら、その偉い、いや偉そうな人はにやりと笑い…言った。
「うちの子供を知らぬような奴には子供はいらん!」
その瞬間、偉そうな人の姿は消え、携帯が鳴り響いた。
出てみると妻の悲鳴。
「ひろしとさやかが、ひろしとさやかが !!!」
…こいつは、『妖怪こなたずね』だ。
自らの子を溺愛していたが、なにかのきっかけで家庭崩壊した挙句、一家心中…という最悪の過去を持つおっさんの怨念が妖怪化したものだ。
こなたずねの呪いから逃れるには、「名前を知っているかね?」の問いに次のように答えると良いらしい。
「貴方様のお子様のお名前は…畏れ多くて言葉にできかねます。」
…ではまた。