過ぎし木曜夜に、大阪勤務の人々と飲んだ。
場所は新大阪のスナック。
その新大阪で彼らが経験した話。



M部長(仮名、ドMなわけではない)とS課長(仮名、ドSなわけではない)が酔っ払って歩いていた。

そんな彼らの前に、何の前触れもなく自転車に乗った老婆が現れる。
その、年の割にキュートな老婆は自転車にまたがったまま静止して、二人に弱々しく話しかけた。

「降りられへんねん」

…どうやら婆さん酔っ払っているらしい。
優しい二人は、自転車を押さえて老婆をゆっくりと降ろした。

足元のおぼつかない老婆を見て、S課長がタクシーを止め、婆さんを乗せた。
婆さんは、感謝の表情を浮かべ、タクシーの窓ガラス越しに二人に語りかけた。

「…カラオケ、行く?」

窓が閉まっていたので、声はよく聞こえなかったが口の動きがそう言ってたらしい。
どうやら、酔っ払い婆さん、謝意の表明に飲みに誘ってくれたらしいが、時間も遅かったので手を振って別れた。

翌朝、同じ場所を通った二人は不思議に思った。
そう言えば、あの婆さんの自転車、どうしたんだろう?
…朝、道路には自転車の影は無かった。

自転車にまたがり、「降りられへんねん」と言ったが、それってどんな状態なのだろうか。
自転車は垂直に立って停止していた。
小柄な婆さんが自転車降りられないと訴えながら直立している…自転車はどう立っていたのだろう。
…婆さんの足はどうなっていたのだろう。


二人はふと考えた。
「カラオケ行く?」という誘いの言葉、その時の彼女の口の動きがもう一度記憶に蘇る。

カラオケ?
いや違う。
二文字目は口が閉じていた。
カラオケじゃない。



…棺桶だ。



怖いような怖くないような奇妙な話を聞いて、ホテルで寝た夜。
私は、何度も部屋の中に奇妙な気配を感じて目が覚めた。

おかげで金曜日は仕事中眠くて仕方なかった。


…じゃまた!




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