夜道を歩いていると、道の少し先を一匹の猫が横切ろうとしていた。
近づくと、さっと逃げた。
近づくと、さっと逃げた。
…と思ったが、駆け出したのは上半身、いや、前半身(?)だけ。
後ろ足や尻尾は止まったまま。
後ろ足や尻尾は止まったまま。
…走る前足と動かない後ろ足の間には、道幅いっぱいに伸びた胴体があった。
呆気にとられていると、後ろ半分がするするっと尺取り虫のように前に移動し、元通りの普通の猫に戻り、こっち向いてにやりと笑い(にゃーと啼いたのではなく)、次の瞬間すっと消えた。
これは、妖怪尺取り猫である。
道いっぱいに伸びるため、よく車に轢かれるのだが、妖怪なのでたいてい無事である。

【イメージ画像】
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