夜道をとぼとぼと歩いていると、突然大きめのネズミみたいなのが、自分の回りをぐるぐると走り回って驚かされる。
かなりのスピードで捕まえるのは無理だが、耳をすますと、何か叫びながら走り回っているようだ。
「逃げるよ逃げるよ逃げるよ逃げるよ…」
確かにそう聞こえる。
不思議に思い、「どうした?何があった?どこへ逃げるんだ?」と問いかけてみる。
すると、件のネズミのようなモノはビタりと止まり、はっきりと人の言葉で言った。
「逃げるのはお前だよ」
これは妖怪にげまわりである。
もっとも、それを知ったのは後になってのことだ。
なぜなら、私が目を覚ましたのはにげまわりに出会った三日後の病院のベッドだったからだ。
記憶は殆ど無いのだが、一つだけはっきり覚えていることがある。
妖怪にげまわりの顔は…私だった。
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