妖怪白とろろ

胃のレントゲンの時にバリウムを飲まされる。
最近は量も少なくなり、随分と飲みやすくなったが、検査後の下剤騒ぎは相変わらずだ。
無理矢理身体に入れた異物を、薬の力で強引に排出しようってんだからキツい。
検査で体調がおかしくなることもしばしばだ。

ところで、ごく稀に、バリウム飲んだあとに尋常では無い感覚に襲われることがある。
腹が張る、とかシクシクするとかではなく、胃腸の中で何やら生き物がのたうち回っている感じだ。
物凄く気持ち悪いが、痛いわけではない。

これは、妖怪白とろろである。
白色を好むため、スキー場や病院によく集まる妖怪だが、たまにバリウムの中に紛れ込んだのが、飲み干されてしまったわけだ。
白とろろにしても、突然飲まれた上に放射線などあてられるものだから、面食らって暴れてしまう。

もっとも、元来ゾル状の妖怪なので、人間へのダメージは少なく、おまけに下剤できれいに排泄されてしまうのであった。