私はほぼ3カ月に一度しか髪を切らない。
それは、短髪が嫌いで、かつ床屋代をケチっているからなのだが、このたび天下御免のぎっくり腰になった関係で3か月周期が大幅に延びてしまった。
要するに腰が痛すぎてとても床屋さんなど行ける状態では無かったわけだが、ようやくイスに座る自信が戻り、また、これ以上、坂本龍馬ばりのぼさぼさロン毛(顔は武市半平太だが)での営業職に限界がでてきた。
 
本来なら行きつけの床屋に行きたいところだが、遠くのため断念。
代わりに近所の床屋さんに初チャレンジした。
 
 
たまたま入った床屋は、見るからに地元密着型の「昭和な」床屋。
おじさんとおばさん(あるいはおじいさんとおばあさん)の二人。
うるさいクーラーの音。
座るとまず襟周りに「天花粉」。
ハサミとスグリバサミ。
長い革(?)のベルトみたいので剃刀砥ぎ。
洗髪は立ちあがって、別の洗面台へ移動。
そして何より、杖ついて入ってから金払って出るまで、ぎっくり腰の話題と近所の話題が延々と続く。
 
…こんな床屋コミュニケーション、昨今古い映画でしか体験したことが無い!
あまりに下町な昭和な体験で、心が温まった気がした。
 
 
 
「ありがとう」と声をかけながら古びたドアを押してお店を出て、ふとふりかえると…今出てきたばかりの床屋は影も形も無く、そこにはマンションの建設予定の立て札と、とうに捨てられて二度と回ることの無い「三色ねじり棒」が横たわっていた。
 
 
 
 
 
…なんてことがあるはずも無く、その昭和な床屋さんは明日ものんびりと営業するのだろう。
あ、明日は月曜日で休みか。
 
 
 
 
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