どんな宗教も信仰していないのに、
小さいころから、
なぜかいつも「神様」がそばにいた。
その「神様」の姿は、一度も見たことがないし、
「神様」の声だって、一度たりとも聞いたことなんかない。
けれど、
いつだって、私のそばにいた。
いつだって、私だけを見つめていた。
なぜかいつも、そんな気がしていた。
おなかが痛くなったとき、
いつもトイレで、
「こないだズルしたのが、わるかったのですか?
それとも、おかあさんのおてつだいをしなかったから?
これからはちゃんとするから、
おなかいたいの、なおしてください!」
そう、神様に懺悔し、懇願した。
そうして、
おなかの痛みが治まったら、
懺悔したことなんてすっかり忘れて、
日が暮れるまで夢中になって遊んだ。
おなかが痛くなる度に、同じことを繰り返した。
そんなゲンキンな私を、
神様は笑いながら、見守っていたに違いない。
人生に行き詰ったとき。
絶望したとき。
もう本当にダメだと覚悟さえしたとき。
そんなときに限って、
奇跡みたいなことが何度も起きた。
その度に思った。
「まるで、神様に大丈夫だよって励まされているようだ」
「神様に守られているようだ」って。
今になって思うのは、
やっぱり、神様はいつもそばにいる、ということ。
ときに、大好きな人の顔をした神様が。
ときに、見知らぬ人の顔をした神様が。
空や雲、雨、風、木々、草花、動物。
あらゆる形となって、そばにいる。
いつだって、
どんなときだって、
誰にだって、
神様はいつもそばにいる。
その存在に気づこうが、気づくまいが。
信じようが、信じまいが。
神様はいつもそばにいる。
ただただ微笑みながら、
私たちの人生をともに歩んでいる。