私にはお父さんの死を受け入れられる程の強さはないから、神様もきっとその事を知ってるから、まだしばらくお父さんは元気に生きているんだろう、なんて思ってたけど。
私にそんな強さがあったのかな。
おかしいな。
余命1日と告げられて、意識がないまま人工呼吸器を付けて5日間がんばったお父さん。
私はこの期間が1番辛かったな。
いつ亡くなるか分からないから朝からまた明くる朝までずっと病院に泊まり込みでいて、あまりの不安の強さに毎日吐き気がしてた。
すごくすごく長く感じた時間。
毎年この頃はクリスマスでご機嫌なはずなのに世の中はクリスマスで盛り上がってるっていう感じが中にぜんぜん入ってこない。
5日目に脈拍が急に下がり始め、
ついに旅立つ時が来た。嘘みたい。
ついこないだまで笑ってたのにいなくなるなんて信じられない。
家族全員がお父さんの傍にいた。
ふと気づくと病院で付きっきりだった母がいないことに気づいた。たまたま買い物に出てたみたい。
電話で呼んで慌てず気をつけて病院に戻ってくるように話した。
脈拍がみるみる落ちていく。
70→50→30･･･
あぁ、もうお父さんはここにいなくなるんだ･･･。すごく辛い瞬間を家族で見届けてる。
みんな泣きじゃくる。
スピリチュアルつぅな方々は、肉体はなくなっても魂は残り、その後魂は素敵なところに行くってことが分かると「良かったね」っていう気分でお葬式でも笑えてくるの。って言ってたけど、そんなこと分かってても辛いよ。だって一緒にいたほとんどの時間は肉体を通して感じてた。お父さんのにしゃっと笑う顔を見て、太い声を聞いて、大きな手を握って、乾燥した皮膚をタプタプ動かしながらクリームすり込んであげて、伸びた眉毛をカットしてあげて、小さい頃は抱っこしてもらって、一緒に笑って歌って泣いてコーヒー飲んで過ごしてきたんだもん。肉体の存在って半端なく大きいよ。大好きな人の肉体がなくなるって半端なく辛いよ。
お父さんは寂しがり屋だから、冬休みで孫たちが全員集まれて、店の定休日の日で私たち大人もみんな集まれて看取ることのできる日を最初から選んでいたんだな、って思った。…すごいなぁって感激した。
それにしてもお母さんが来ないのが気になる。どんな気分で病院に戻ってきてるんだろう。母の心情を思うと苦しすぎる。
最後はどうしても母の声を聞かせてあげたかったし、母も父もそれを望んでいた。
私は「お父さん！もうすぐお母さんが来るからね！！待っちょって！！」何度も呼びかけた。
父母は、結婚してから毎日、一緒に３食食べて2人で商売してきたからほとんど2人は一緒だった。
今まで、最後を看取ることってそんなに意味があるのかな？なんて思ってたけど、すごく意味がある。今ではほんとそう思う。だって本人がそれを望んでることが分かったから。
びっくりすることに、もうすぐお母さんは来るから、とお父さんに伝えると、なんと脈拍が上がってきた。
ピコンピコンという音と共に、20代に下がりかけだった脈が急に上がり始め、35でキープされてる時、「お父さんはお母さんを待ってる！！」って気がついた。それがすごく感動的でお父さんはなんてカッコいいんだろうって思った。家族にもそれを知らせた。
お母さんが部屋にかけつけ、お父さんのそばに寄り添い、泣きながら大きな声で伝えたいことをいくつも話しかけた。「ほんとにありがとう！お父さん、かっこよかったよ。大好きよ。良く頑張ったね！！」
すると、安心したかのように脈は下がり初め、
あっという間にお父さんは肉体からすっと離れた。
お母さんを待ってくれたなんて、私はなんて粋な死に方なんだろうってすごく感動して「お父さんすごい！！カッコよかったよー！！ありがとう！！」って拍手してた。
普通愛する人が亡くなった時に拍手する人いないよね、って思ったけど、あまりのカッコ良さに感動して無意識に2度、拍手を贈ってた。
勝手に手がパチパチするから不思議だった。
ほんとにカッコよかった。
自慢のお父さんだと思った。
全部分かってたんだよね、
お父さんほんとにありがとう。
世界一最高のお父さん。
お母さんの旦那としてもすげー最高。
肉体はなくなったけど、愛はここに残ってる。愛は一生消えない。
私と弟、そして子どもたちにもDNAを残してくれたから、そのお父さんの愉快なDNAを存分に使って面白おかしくこの世界を楽しもうと思うよ。
いなくなる時はとても辛かったけど、今でも寂しくて涙が出るけど、私たちはあの時お父さんに大きな愛で包まれました。
昨年の秋頃に作ったビジョンマップです。
るん♪